あなたは、惨い殺され方をした女の怨念が引き起こした恐ろしい話をご存じだろうか・・・
『史上最強の悪霊』
200年ほど前・・・
残酷な生き地獄を味わいながら死んだ女・・・
供養されるたびに苦しみは増していった・・・
成仏することなく、さまよい続け・・・
今回は世にも恐ろしい怪談話『史上最強の悪霊』をお伝えします。
毎度おなじみ心霊界の石原さとみこと、コワイキョウコです・・・
先日、何やら不快な声が聞こえて来たんです。
そしたら、すーっと、持ち上げられるような感覚に襲われて・・・
なにが起こっているのかと下を見たら、どなた様かの葬式がおこなわれていました。
どうやら不快な声はお経だったようです。
危うく成仏しそうになっちゃいました・・・
不意な葬式には気をつけないとですね。
それでは今回のお話は・・・
『史上最強の悪霊』
悪霊は生きているあいだ、酷い苦しみを味わった・・・
死してなお、次から次に人に取り憑いて・・・
悪霊は醜い人間のおこないで、生まれてしまうものなのかも知れません・・・
それではお楽しみください・・・
※このお話は5分ほどで読むことが出来ます。
『史上最強の悪霊』【怖い話シリーズ6】
これは、今から10年ほどまえ、私がまだ六本木で事務所を構えていたころの話である。
調査員の募集広告で里見房江(仮名・22歳)さんという女性から応募があった。
彼女の肌は透き通るように白く、まるで平安時代の巫女のような、時代を超えた高貴な顔立ちをしていた。
しかも、バイクに乗れて性格も明るい。
すぐ採用が決まったが、残念ながら結婚のために、たった一年で退職してしまった。
(もしこれを読んでいたら、至急私に連絡してほしい)。
里見さんが入社して2日目、初対面の幹部社員の佐田(52歳)を見るなり、彼女の顔が真っ青になった。
佐田のほうはそんなことに気づくわけもなく、机に座ってデスクワークをしていた。
無論、他の社員も里見さんの異変には気づいていない。
しかし、私は彼女を注意深く観察していた。
佐田を見ないようにしている・・・。
真っ青になった顔に、脂汗が吹き出す・・・。
それを盛んにハンカチで押さえている・・・。
そのうち、ブルブルと小刻みに震え出した・・・。
まるで、風邪で高熱を出している病人のようだ・・・。
異変を察知した私は、里見さんに都庁の住宅局に資料を取りに行くようにと命じた。
夕方、帰ってきた彼女は元気いっぱいだったが、それは佐田が外に出ているせいかも知れなかった。
社長室に呼び「どうしたの?」と聞くと、一瞬驚いたが、すぐに平静を装い「え?何がですか‥‥」と逆に質問してきた。
「言いたくなければ言わなくてもいい。でも気になってね・・・」
「里見さんが佐田を見たときのこと。本人には言わないから、教えてくれないかい?」
「‥‥でも、言ってしまうと、私はここにいられなくなります」
「そんなことないよ。里見さんの様子じゃ、事務所にいること自体が苦痛じゃないの?」
「いえ、慣れてしまえば‥‥じゃなくて、あ‥‥」
彼女は舌を滑らせて、自分の頭を小さくこづいた。
「何も心配はいらないから、話してごらん」
「すべてを話すと、みんなに怖がられて、ここにいられなくなります。許してください」
私は彼女をリラックスさせるために、ゆっくりと話をすすめていった。
頭の上に生首ふたつ・・・
それから30分後、やっと彼女の重い口が開いた。
「佐田さんの頭の上に、二つの武士の生首が浮かんでいるんです。」
「それが私を睨みつけてきて‥‥。目を合わさないようにと必死でした‥‥」
これが本当の話なら、すごい霊能力だ。
私は驚きを隠せなかった。
「すごいね!それは佐田の守護霊?」
「いえ、憑依霊です。守護霊は、そのために出てこれません。」
「社長、佐田さんに伝えてください。」
「私が言ったとはぜったいに内緒にして、家の井戸をまつるようにって・・・。」
「その近くで殺された武士の怨念が残っています」
私は約束を守ると言って、新たな質問をした。
なぜ霊能者を職業にしないのかと聞くと、自分には霊を見たり原因を探る能力だけしかなく、はらう能力がないのだという。
この祓う能力が一番たいせつで、修行をしないと身につかないし、中途半端な力では、霊障をもろに受けて命が危ないらしい。
しかも、彼女はそれを職業にしている霊能力者は、本当はあまり見えていないのだとつけ加えた。
本当に見えると、あらゆる面で大変だと言う。
とくに、テレビに出ているような霊能力者のほとんどがインチキらしい。
それなのに、彼らの元に通う人がいることが信じられないと言った。
見えていないから恐怖を感じない。
見えると怖い。
それは私もまったく同感だった。
井戸は本当にあった・・・
翌日、さっそく佐田に聞いた。
「佐田さんのとこの実家、どんな家?先祖はなんだったの?」
「私のところは古い屋敷です。内藤町の武家で、たしか、貧乏旗本だったと祖父から聞いたことがありますが・・・」
私は里見さんの話を自分の“夢の話”にすり替え、井戸の供養を口にした。
「え? 気味が悪いですね、じつは先月埋めてしまったんですよ。」
「物置のプレハブを建てるために・・・。そうですか、じゃあ、しっかりお祓いをしておきます」
里見さんはズバリ言い当てていた。
私は佐田の頭の上を見上げ、ここに生首が二つあるんだな、と想像してしまった。里見さんを睨んでいたのは、霊視能力がある彼女に何かを訴えていたのだろう。
佐田が古井戸を供養してから、会社に生首が出社することがなくなり、里見さんも安心して仕事ができるようになった。
後で彼女に、その武士たちの死因を聞いたら、黒いズボンに赤いチャンチャンコみたいな服を着た軍勢に囲まれて、彼らが斬り殺される風景が見えたと言う。
おそらく幕末の動乱期に殺された武士なのだろう。
惨たらしい死に方をした女の怨霊
里見さんがいた一年のあいだに、霊的にいろいろなことがあったが、ここでとくに印象に残る話をしたいと思う。
東京駅のそばにある一部上場企業の課長を、社長秘書の密命により調査していたときのことだ。
彼らは下請けの業者からワイロを受け取っており、別の部署に移ってからも・・・
「私にはまだ影響力があるんだ。いつも通り金を銀行に振り込め」
と脅かし続けていた。
彼に渡った業者のワイロ総額は三千万をくだらない。
このことが社長の耳にはいり、一体、なんでそんなに金がいるのかを調査することになった。
もちろん、課長には秘密である。
企業からの依頼は調査員に対して本当の依頼内容をふせるのが通常で、このときもただの浮気調査ということだった。
里見さんに加わってもらい、尾行を開始したが、彼女は次の日に突然休んだ。
真面目に働き、一度も無断欠勤したことがないので、私は何かあったのかと思い彼女の家に電話を入れた。
すると、その課長にはとんでもない怨霊が憑いていて、とても尾行どころではなく、まともに霊障を受けてしまって今も熱が引かないという。
本当に苦しそうだ・・・。
どんな霊が憑いているのか、と尋ねると、むごたらしい死に方をした女の霊だと言う。
私は興味をもち、その調査に加わることにした。
現場は社員に任せていたので、尾行するのは一年振りである。
ターゲット(課長)は江東区の社宅に住んでいて、会社には自家用車で通い、八重洲駐車場をいつも利用していた。
調査は夕方、彼がその車に乗り込むところからスタートする。
車は赤のカペラだった。
課長のくせに、派手な車だな、と思いながら張り込んでいると、彼が現われた。
マンガ家の永井豪のような風貌で、とてもそんな悪人には見えない。
カペラが行き着いたのは錦糸町・・・。
ここは都内でも有数の飲み屋街だ。
彼は高級クラブにはいった後、自分より背の高い女と喫茶店で待ち合わせて、その女のマンションにはいった。
愛人だ。
ホステスの愛人をもつと、家賃、小遣い、店の飲み代含め平均百万円は必要だから、贈収賄事件を起こすのもいかたない。
尾行の成果はあった。だが、肝心の幽霊は見えなかった。
私には訴えかけてこないのか。
この報告を秘書にすると・・・
「じつはこの情報をくれたのは課長の奥さんなんだ。」
「彼女が君に相談したいことがあるといっているから、会ってやってくれ」
と言われた。
翌日、奥さんと会う。
きれいな顔立ちをしているが、体はガリガリに痩せ細り、肌もひどく荒れて、かなりの心労の跡が見える。
今、離婚調停の用意をしており、その証拠にしたいから、主人が泊まったマンションの女をもう少し調査してくれとの依頼を受けた。
そして彼女は自分たち夫婦の身の上話をはじめた。
怨霊に取り憑かれた男の所業・・・
奥さんは初婚で結婚して間もないが、彼は再婚で、まえの奥さんは鉄道に飛び込んで亡くなったと言う。
驚いた私は、思わず・・・
「それを知っていながら結婚したのですか?」
と聞いてしまった。
奥さんは『精神異常で発作的に飛び込んだ』と聞かされていたからと答えた。
しかし、そんなむごい死因は、隠しておくのが新しい妻に対する思いやりというものだ。
たとえ告白したとしても、精神異常から発作的に首を吊ったとか、もっと上手なごまかし方をするのが礼儀だろう。
彼の神経はどうなっているんだ。
彼女は「今になって考えれば、まえの奥さんは主人に追い詰められて死んだ」と言い切る。
そのわけを聞いてみると、たまに家に帰れば殴る、蹴るは当たり前・・・。
黙って耐えると「なんでしゃべらない、そういうところが嫌いだ」と、朝まで延々とののしられる。
生まれたばかりの子どもにさわろうとせず、生活費も入れず、実家に食費を頼るありさま・・・。
衣服は破かれ、風呂にはいっていると頭から小便をかけられる。
まさしく生き地獄だ・・・。
翌週の月曜日、里見さんが出社してきた。あまり顔色が思わしくない。
社長室に呼んで奥さんから聞いた話をする、彼女はこう言った。
「私が見たのは、まえの奥さんじゃない。」
「もっと昔、二百年ぐらいまえの女の霊です。」
「年は30歳ぐらい‥‥体じゅうに拷問を受けていて、顔や頭は焼鏝で焼かれています。」
「最後は牢屋のようなところに閉じ込められて餓死してしまう‥‥。」
「なぜ拷問を受けたのかはわかりません・・・。
「何も食べられずに死んだから、とても欲深い顔をしています。」
「かなり飢えていて、怨念もすごい‥‥。私に、いきなり噛みつこうとしましたから・・・」
話を聞いているだけで、つま先から寒くなってきた。
彼の立ち振る舞いは、その怨念の欲求を反映しているのか。
「社長は悪霊に憑依されない力がありますから、明日の調査はいっしょに行きます。」
「私が行けば、社長にもその霊が見えるでしょう。」
「それと、今の奥さんが心配です。祟った後は、かならず取り殺そうとするはずだから」
別居中でも危ないのか?
と聞くと、これだけ強力な怨霊だと、まったく知らない人のところには行けないが、知り合い、とくに縁者のところへはいつでも行けると言う。
強い怨念による霊障・・・
次の日の夜、里見さんを連れて現地へ行った。
午後11時、部屋から出てきた彼がカペラに乗り込む。
女を迎えに行くためだ。
助手席の里見さんが身構える。
そして車が走り出した瞬間、「アッ」と叫んで彼女が指をさした。
私はとっさにその方向にカメラを向け、シャッターを押した(現像後、霊が写っていた!)
車の横に自転車の駐輪場があり、その陰に怨霊がいるらしい。
私はカメラを置いて、目をこらした。
ボロボロの着物をまとった女の霊だ。
こちらを見て着物の袖で顔を半分隠している。
目がくぼんでいる?
いや、骸骨のような顔だ。
髪の毛だけは黒々としている。
「社長、逃げてください!」
理由は聞かずにエンジンをかけ、車を発車させた。
ここにいると危ないという本能は私にも働いた。
しばらく走ってから、里見さんに聞いた。
「どうして危なかったの?」
「このまえの何倍も怒っていました‥‥。すごい‥‥。
「私に取り憑こうとしたから逃げたんです。一度はいられたら、防げない。」
「どんな人でも祓えない霊もいるんです。偉いお坊さんでも‥‥。」
「祟られたら終わり、そうゆう霊です」
「そんなのがいるのか!?」
「お祓いするたびに霊が苦しみ抜いて、だんだん力が強くなるんです。」
「あの霊も、もう何十回と供養され、お祓いも受けている‥‥。
「それでも成仏しないんです。」
「喉が渇いたとき人間が水を飲むように、霊も人に取り憑いて苦しみを癒すんです」
車が新目白通りにはいり、信号待ちをしているときだった。
<キキーッ、ガシャン!!>
体が宙に浮き、荷物が前に吹っ飛ぶ。
後ろから来た車に追突されたのだ。
「里見さん、大丈夫か?」
私たちは救急車で日大の駿河病院に運ばれた。
意識は朦朧としていたが、幸い、二人とも軽いムチウチですんだ。
セールスマンが助手席の資料を見ながら運転していて、赤信号に気づかなかったらしい。
治療を終えた彼女を待って、事故の本当の原因を聞いた。
霊障かと・・・
「そうです。さっき、あの霊が社長の車に呪いの念を送ったのでしょう。
「でも、これ以上あの人に関わらなければ大丈夫だと思いますが‥‥」
もうあの車は売ろう、と決心した。
調査も断わるしかない。
こんな目に遭えば誰だって白旗を上げるだろう。
怨霊の正体・・・
しかし、里見さんの霊視は続いた。そして・・・
「社長、あの霊の正体が見えました。大きな商家の女中です。」
「若旦那と恋仲になり、それを奥方にとがめられ殺されています。」
「若旦那を思う気持ちと、蔵で拷問を受けた悔しさ、痛さ、よってたかって暴行(強姦)を受けた惨めさ・・・。」
「水も飲めずに体が衰弱していく‥‥死に怯えながら‥‥最後は気が狂い、舌をかみ切って‥‥」
恐ろしい話だ・・・。
しかも、女中の霊は商家の家族や使用人のほとんどを呪い殺し、その土地に移り住む者も呪い殺している。
そして、殺した人の霊もつき従えていると言うのだ。
霊が強力になると、憑依がしやすくなるらしい。
まず、周囲の人間に祟り、本人を滅ぼし、また違う人間を探す‥‥。
では、彼はどこで憑依されたのだろうか。
「あの人は、除霊をしにきた神主さんの息子さんです。」
「神主さんは逆に取り憑かれ、呪い殺されました。」
「その神主さん、つまり父親が彼の背後霊となって、すこし悪霊に抵抗しています。」
「でも、もうだめでしょう。抵抗から強力に変わりつつあります。」
「悪霊の仲間になるのは時間の問題です」
これほど恐ろしい悪霊とは・・・。
そして死の連鎖は続いて行く・・・
私はその夜、いきなり悪寒に襲われ39度の熱を出した。
ムチウチの後遺症だと自分に言い聞かせながら、早くこの調査を断らなければと思った。
そしてベッドからはいだし奥さんに電話を入れた。
「もしもし、奥さまはいらっしゃいますか?」
「‥‥はい、すこしお待ちください」(若い男性の声、周りに人がたくさんいる)
「もしもし、どちらさまですか?」(依頼者と同じ年齢くらいの女性)
「あの、六本木の、渡邉と申しますが」
「A子は‥‥昨晩、他界しました。あの、A子とはどういうご関係ですか?」
自殺だ‥‥。
私は思わず電話を切った。
全身が総毛立った。
2人目の奥さんも自殺してしまった。
彼は贈収賄でもうすぐ会社をクビになる。
これから先、いったいどうなるのだろう・・・。
次は、愛人か?
そして、その次は・・・
悪霊は廻り廻って、これを読んだ、あなたのそばに来るかも知れない・・・
『史上最強の悪霊』【怖い話シリーズ6】
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本当のことなのか・・・
単なる作り話なのか・・・
『史上最強の悪霊』
信じるか信じないかはあなた次第です・・・
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