オカルト・怖い話

『神喰い』怖い話シリーズ130

2021年3月25日

とある神様にまつわる怖ろしい話・・・

『神喰い』

私の家は昔陰陽師や拝み屋のようなことをやっていた・・・

今は血が薄まって祓えるのは祖母だけだったが・・・

なぜか強い力を持った先祖の命日に生まれた私は・・・

今回は怖ろしい怪談話『神喰い』をお伝えします。

怖異 恐子
皆さん、こんにちは・・・

毎度おなじみ心霊界の石原さとみこと、コワイキョウコです・・・

陰陽師・・・

昔はこんな不思議な職業があったりしたらしいですが・・・

今はトンと見かけませんよねぇ・・・

映画とか物語に出て来るような陰陽師なんて、ホントにいたんですかね?(汗)

ちょっと疑っちゃいますが・・・

でも火のないところに煙は立たずとも言いますし・・・

もしかしたら、そう言う人たちが過去にはいたのかも知れないですね(汗)

それでは怖い怖い怪談話・・・

『神喰い』

どうぞお楽しみください・・・


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※このお話は4分ほどで読むことができます。

『神喰い』怖い話シリーズ130

私の家は昔は陰陽師?拝み屋?みたいな事をやっていて、苗字も特殊だったりする。

何故か女にしか強い力が付かないから、昔から珍しい事に当主は女ばかり。

でも最近は色々な血が混ざってしまって、祓えるのは祖母だけになってしまっている。

そのため昔の形は遠に薄れてしまったので、父も含め祖母の息子は普通の仕事についてる。

だけど、何故か珍しく力を持ってしまって生まれたのが私。

何代目か分からないけど、強い力のある人の命日に生まれたせいだと祖母に言われました。

 

そんな家だった事や私の力の為に、幼い頃は毎日の様に怖い思いをしました。

それに、割と霊と言うのは波長が合わないと見えない物で、クラスメートは当たり前ですが、両親にまで嘘吐きと言われて居ました。

そんな時代でしたから、ある日イジメられ、祖母に絶対行くなと言われていた廃墟の様な神社の社に、閉じ込められてしまいました。

きっと名前を出すだけで泣いていた私を、面白がっていたんでしょうね。

 

入って数10分、ただただ出して欲しいと叫びましたが、不意に外から聞こえていたイジメっ子達の声が止んでしまいました。

不意にひんやりとした空気が私の頬を掠めました。

不思議と気持ち悪いと言う感覚はありませんでした。

 

「振り向いてはだめだよ」

 

中性的だけど、鈴の様な綺麗な男性な声だった様な気がします。

そして彼(?)は、私の祖母の言いつけで伸ばしていた長い髪に触れました。

 

「綺麗だ、ほしい」

 

淡々と淡々と彼は喋ります。

不意に恐怖心を感じました。

祖母に・・・

 

「お前の魂は空っぽだから、異質な物にとって栄養になる。だから、お前が食われそうになったその時は、髪を切り与えろ」

 

と言われたのを思い出しました。

何度も反響する様に、頭の中で「ほしい」と言う言葉が響きます。

震える声で背後の彼へと声を掛けました。

 

「髪なら髪なら良いです」

 

言い終えるか否かの瞬間、背後からくちゃーと言う涎の様な声が響き、次の瞬間首が涼しくなりました。

嗚呼食べられてしまったんだなと思いながら、膝が震え倒れそうになりました。

けれど彼の手でしょうか、腰元を支えられゆっくりと下ろされました。

私はお化けと言う様な物に触られた事がなく、少し驚きながらも体内の熱が奪われていくのが分かります。

 

そのまま眠ってしまったのでしょうか、起きた時、私はいじめっ子の背中に居ました。

彼らは泣いていて、その声に一瞬気を取られていましたが、背後から足音が聞こえてきました。

いじめっ子達は私を神社から出そうとする時、扉が開かず、出てきた私が髪が短くなっていた事、倒れていた事に驚いていたようでした。

また、彼等は真っ白い靄の様な物に追いかけられた、と言う話をしていました。

 

私は早く帰らなきゃ行けないと思っていたので、彼等に声を掛けようとしたのですが、口が開かないのです。

徐々に視力もぼやーっとしてきます。

聴力だけが異常に敏感になり、耳元に背後から聞こえる足音が大きくなります。

私は思いっきり私を背負う男子を叩きました。

そして背中から降りると、いじめっ子の腕を取り走りました。

足音は大きくなります。

直感的に、私の視力がなくなったら、私は死ぬし彼等も死ぬと、幼いながらに恐怖を抱きました。

 

私は祖母を頼り、本家へとただ田舎道を走っていきました。

大きな門がぼやけて見えます。

その前には祖母が立っています。

何故か祖母だけがはっきりと見えます。

安堵で祖母に向かって走ろうとします。

けれど祖母は鬼の形相で叫びました。

 

「アンタが最後に入る様に二人を門に放り込め!」

 

私はただただ怖くて、二人から手を離し、二人の背中を押し門へと飛び込みました。

そして最後に祖母が入ってきます。

中にはいじめっ子二人の母親が白装束で立っていました。

 

「神社に行ったね」

 

祖母が怒鳴ります。

視力も声も戻らず、口を魚の様にぱくぱくする事しか出来ません。

祖母の指先が唇にふれ、次に胸元から真っ赤な独特の匂いのする紅が口元に塗られました。

不思議と声が出ます。

言い訳混じりに言葉を続けましたが聞いてくれず、いじめっ子を含め、本家のお経で固められた一室に通されます。

 

さっき追いかけてきたのが、神だと言う事。

昔流行っていた神社の神だが、飢饉に陥った際に生贄を与えてしまったのがきっかけで、病んでしまっている。

私は気にいられて、影を食べられている。(確かに私の影は無かった)

食べられたのは髪では無くて、私が生まれつき憑けている神である事。

私の視力が戻らないのは、神が憑いていないから。

私は、神が憑いていなければ三つの時死ぬ子だった事。

今しゃべれるのは祖母の力で、完全に戻ってるわけじゃない事。

 

いじめっ子は神憑きで、神社の神のお気に入りの子を虐めた為、祟られている事を祖母から聞いた。

そして最後に、私に神下ろしを行うと口にした。

いじめっ子達の母親が呼ばれたのは、自分の息子達の代わりの贄になる為だった。

私もいじめっ子も、してしまった事に後悔して泣いていた。

そして祖母は、私に真っ直ぐ言った。

 

「お前に変わりは居ない。お前と同じ霊力のやつも居ない。死ぬかもしれない。…流石の私も神は祓えない。だから、お前の中に彼奴を下ろす。良いか、お前の気持ちが邪な物に落ちなければ…きっと大丈夫」

 

私は、アレが自分の中に落ちる事が怖くて泣いた。

けれど祖母は、今のままなら祖母が死んだ時に食われてしまう、私に下ろさなければいじめっ子も危ない、と言った。

 

そこまで言われると頷く事しか出来ない。

私と祖母だけで門の外に出ることに・・・

私は門を潜った瞬間何も見えなくなって…倒れてしまった。

意識がなくなってからどうなったか分からないけど、起きた時、私の部屋と銘打たれた本家の一番奥で寝ていた。

ずっと髪を撫でられてた気がしたが、周りには誰も居らず、起きあがると祖母が入ってきて、ただ一言「居る」と言った。

嗚呼、私の中に入ったんだなって分かった。

でも変な感じはしなかった。

嗚呼髪を触っていたのは彼かとすら思えた。

 

その後一週間、私は禊ぎをさせられ、夜になると祖母が寝るまで付いていてくれました。

その一週間、私は毎日夢を見て、彼の記憶だったのかは分からないですけど、人を食べてしまった日の彼の悲しみが、何度も襲いかかってきた。

ただの夢だったかも知れないけど、彼は人間を愛していたんだなと思ったし、私が髪を上げるなんて言わなきゃ素直に返してくれるんじゃないかって、凄く辛くなったし悲しかった。

 

以上で私に憑いている彼の話はおしまいです。

まだまだ変わった話はあるのですが、彼が憑いてからは少なくなっています。

今私は高校生ですが、いずれ祖母の仕事を継ぐのかなと今は思っています。

『神喰い』怖い話シリーズ130

怖異 恐子
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ゆきキャベツ

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