オカルト・怖い話

『一つの村が消えた話をする(前編)』怖い話シリーズ127

2021年3月22日

とある村にまつわる怖ろしい話・・・

『一つの村が消えた話をする(前編)』

俺はある山奥の村で生まれ育った・・・

人口は百人程度、村に学校は無かった・・・

村人の殆どは中年の大人や高齢の方だが・・・

今回は怖ろしい怪談話『一つの村が消えた話をする(前編)』をお伝えします。

怖異 恐子
皆さん、こんにちは・・・

毎度おなじみ心霊界の石原さとみこと、コワイキョウコです・・・

日本の各地にある神社・・・

毎年、何らかの祭りがおこなわれ、その祭りにまつわる伝承なんかが残っていたりもしますよね・・・

祭りの目的は大抵、土地の神様を崇めるとか、豊作を祈願するとか、そう言った感じだと思うけど・・・

中にはヤバ~イ、いわくが隠されているものもあったり・・・(汗)

今回はそんないわく付きの・・・

「コンコン・・・」

おや?誰か来たようだが、一体・・・?

それでは怖い怖い怪談話・・・

『一つの村が消えた話をする(前編)』

どうぞお楽しみください・・・

※このお話は前編10分、後編12分、前・後編合わせて22分ほどで読むことができます。

『一つの村が消えた話をする(前編)』怖い話シリーズ127


 この話を人にするのも、書き込むのも初めてだが、時間に余裕のある奴は聞いてくれると助かる。

文章は読みにくいかもしれないし、見る者の殆どが釣りとかネタだろと思う内容だと思う。

なるべく皆の質問には答える予定だ。

時間が限られているので、速めの返答を心掛ける。

では、話を始めようと思う。

 

俺はある山奥の村で生まれ育った。

人口は百人程度、村に学校は無かったから、町の小中学校まで通って行っていた。

村人の殆どは中年の大人や高齢の方で、一部の高校生や大学生の人達も村を離れている。

当時の子供達と言えば、俺と幼馴染の女子のAと男子のBの同世代のみであり、俺達より年下の村人もいなかったから、殆ど仲の良い三人で勉強をし、川遊びをし、釣りをしたりという生活を送っていた。

幼馴染のAは俺達の中でも一番賢く、はっきり言うと美人で、超田舎にこんな子がいるのは、割と珍しい方なんじゃないか?って、一人思っていた事もあった。

神社の神主の一族で、幼い頃から巫女として育てられてきた。

 

幼馴染のBは、頼りがいのある奴で、遊びの予定とか内容も殆ど彼が決めていた。

ガタイが良く、豊富な知識で楽しませてくれる親友だ。

ちなみに、町の小中学校も人数が少なく、廃校寸前のような状態だった。

村は全体的に田畑、小川、空き地が殆ど。

古い歴史がある神社、池が一つ。

村人がやっている、八百屋や服屋が一軒。

この村へ行くには、人口数千人程度の町から、村へと続く道なり二十km程度の一本の山道を通る必要がある。

町から村へ行く道は、この一本の道しか無く、交通の便は非常に悪い。

山奥の村と言う事もあって、村の関係者以外の人は殆ど来る事は無い。

と、軽く村と諸々の紹介をした所で、本題に入ろうと思う。

 

この話は、俺が十五歳の夏、中学三年生の夏から体験した出来事。

非常に現実味の無い話だが、とある事情から、虚構を混ぜずに語る事を誓う。

説明が長いと思われるかもしれないが、なるべく分かりやすく、俺の体験を皆に知って貰う為の余計な配慮だと思ってくれ。

 

まず初めに、村の行事や伝承について説明しようと思う。

特定出来る者は、この村を特定しても構わない。

しかし、俺は村を仮に特定出来たとしても、ある事情から村に行く事は進めない。

その点を、深く理解して頂きたいと思う。

 

神社・祭り・伝承に関して・・・

この村の神社では、数百年前から一年に一度、ある祭りが行われて来た。

この祭りの名前は、多分特定されないと思うから書き込んでおく。

村の祭りは「辿静祭」と呼ばれ、村全体規模で行われる祭りだ。

八月十五日のお盆の日に行われ、村人全員が辿静祭に参加し、村人が露天を開き、世間で言われる「盆踊り」。

この村では「鬼無踊り」と呼ばれる独自の踊りを踊ったりし、最後は神社の巫女が「巫女神楽」、この村では「浄縁神楽」と呼ばれる。

これまた独自の神楽を舞う事によって、辿静祭は幕を閉じる。

この村の村人には、辿静祭に関する三つの「禁」が伝えられており、その禁は親から子へ、子から孫へと伝えられてきた。

俺自身も、小学生の時に両親から教え込まれ、絶対に破ってはならないと言われてきた。

その禁の内容は、以下に書き込む。

第一の禁・辿静祭前日である八月十四日、神主一族以外の村人は、村の奥にある「障芽池」には近づいてはならない。

第二の禁・辿静祭当日である八月十五日、全村人は必ず人を入れてはならず、村人も村外の外界に必ず出てはならない。

第三の禁・八月十五日・辿静祭当日~八月二十日・辿静祭後日の間に、この村で、村人に、知人に、家族に、自分に何が起きようとも、その事を生涯絶対に村以外で口にしてはならない。

と言ったものだ。

禁に関する質問も、答えられる範囲で答えよう。

この辿静祭に関する禁が、いつから村に存在するのかは分からないが、村人の先祖達が子孫を思って、この禁を伝えてきた事には変わりない。

禁を破ってしまった場合どうなるか、当時の俺は知る由も無かった。

 

>ここに書き込むことは大丈夫なの?

>>読んでくれてありがとう。

ここに書き込む事は大丈夫だ。

その理由は、また後に語る。

 

第一の禁にある障芽池についてだが、この池は村に古くから伝わる池で、障芽池は鬼の住む巣窟に繋がっていると伝えられている。

この伝承は、障芽池の鬼伝説と呼ばれている。

障芽池の森は代々神主一族に管理されており、神主一族以外の村人が周囲に無断で立ち入る事は禁止されている。

神主一族が管理する障芽池には、五重の注連縄と五つの祠が存在し、これらは障芽池を封印しているそうだ。

八月十四日は、第一の禁に従い、神主一族以外の者は障芽池の森に立ち入る事が出来なくなる用に、厳重に有刺鉄線で障芽池の森の周囲を覆ってしまう為、
障芽池は完全に封鎖される。

 

ここからは会話の場面だ。

八月十日・・・

俺達はいつものように、小川で三人で遊んでいた。

水を掛け合ったり、水鉄砲の様な自家製のおもちゃを使って遊び、昼が過ぎ、弁当を食べ終わり、次の遊びの予定を考えていた。

 

俺「明日は何して遊ぶ?」

A「私は昼過ぎから浄縁神楽の練習があるから、午前中だけなら遊べるよ!」

B「これからはAも浄縁神楽の練習をする時間が増えるな。俺にとっておきの楽しみというか、やってみたい事があるんだけど、聞いて貰えるか?」

俺「いいぜ」

A「いいよ」

 

B「これは誰にも言わないでくれよ、八月十四日の夜にさ、障芽池の森に三人で行ってみないか?」

俺「でも、それは禁を破る事になるぜ。辿静祭の前日は、Aの一族の人が出入り口を見回っているだろうし・・・」

A「俺君の言う通りだよ、私はやめたほうが良いと思うし、障芽池の森に行くのは無理だと思うな」

B「二人にそう言われると思っていたから、昨日の夜に障芽池の森の有刺鉄線の網を一部開けて置いたんだ。それに、障芽池の森の中に「祠」がある事を知ってるか?」

B「有刺鉄線を超えて、障芽池に行く獣道から少し外れた所に、ある祠があるそうなんだ。一昨日、俺の両親が話をしている所を一部聞いただけなんだけどさ、その祠はこの村の歴史が存在する以前からあるらしく、その祠の中にある【石】に触れると、【見える】ようになるそうだよ」

 

A「そんな話、お父さんからもお母さんからも聞いた事ないけど、本当だったら気になるかも」

俺「俺もAと同じ意見だ。その話は聞いた事ないけど、何か気になる。そんで、何が「見える」ようになるんだ」?」

B「それは俺にも分からん、両親が二人で昔話をしている所を少し聞いただけで、その「見える」って言葉の後、父さんが話を変えたからさ」

俺「そっか、色々怖いけど、Bの話を信じてその祠に行ってみるか」

A「私も行く!、次の日は辿静祭だからお父さんから早く寝なさいって言われると思うから、なんとか屋敷を抜け出してみるね」

 

俺「近くまでBと迎えに行くよ、時間はどうする?」

B「夜の八時ぐらいかな、あまり遅いと何かあった時に困るだろうから、時間に余裕をもって行きたい」

俺「了解!」

A「分かった!」

俺「それで、明日はどうするんだ?」

B「Aの都合考えて、お前の家で花札とか?」

A「私は構わないわよ!」

俺「了解!、明日の朝九時頃に来てくれ」

 

俺達は、禁を守ると言う事の重要性を理解していなかった為、このような事を行うと決めてしまった。

村の歴史そのものでもある神主一族のA、そして親友のBを俺は止めず、彼等の意見に賛同してしまった。

これが、俺の生涯の過ちとなる。

 

八月十一日・・・

村から離れていた人達が帰ってきた。

大人達、高校生達を合わせても十人程度の人数、この人数と村に留まっている者達を合わせた数が、本当の村人の人口だと言える。

この日から辿静祭の準備が始まった。

神社の参道、社、神楽殿の掃除や、彩の準備。

露店の準備に、村から外界へ通じる道の完全な封鎖網の準備、障芽池の森の封鎖準備等、村全体が慌ただしくなってきた。

この時に、Bが開けた障芽池の森の入り口が塞がれていないか心配だったが、Bによればそれは大丈夫との事。

午前中は俺の屋敷でAとBと遊び、午後は一人で釣りをした。

 

八月十二日・・・

村の出入り口が完全に封鎖された。

出入り口に通ずる森や林にも封鎖網が施され、村と外界が隔絶された。

障芽池の森の入り口が完全に封鎖され、周囲を神主一族の者達が見回っているようだ。

辿静祭に関する場所の掃除や彩は大体終わり、各露店の場所も分かるほどに準備は進んでいた。

この日は、Aが丸一日、浄縁神楽の練習との事だったので、午前中は勉強、午後はBと釣りをし、一日を過ごした。

 

八月十三日・・・

辿静祭への大体の準備は整った。

露店も準備が終わったそうだし、後は辿静祭当日を迎えるだけとなった。

神主一族の神主、つまりAの父親から村人全体に召集があった。

辿静祭についての話だそうだ。

禁の最終的な確認と、鬼無踊りの確認、浄縁神楽の予定の確認、最後に神主から重要な知らせがあった。

 

神主「今年の辿静祭でも私の娘が浄縁神楽を舞う、おそらくは完璧な出来となるだろう。皆も、心して娘を見てくれ」

村人「wwwwwwwwwwwwww」

神主「wwwwwwwwwwwwww」

A「(*ノωノ)」

 

俺の傍で話を聞いていたAは照れている様だった。

正直、可愛いと思った。

 

八月十四日 辿静祭前日 昼・・・

今日は辿静祭の前日だ。

村人の召集が再び神主からあり、辿静祭の予定やそれに関する多くの事物が書かれた書類が配布された。

今日の夜、俺達は障芽池の森の祠に向かう。

その予定の最終確認を召集後に済ませた俺達は、Aの屋敷に来ていた。

Aが浄縁神楽を見て欲しいと言った為だ。

Aは、代々の巫女が着ける仮面を身に着け、扇や榊を手にし、浄縁神楽を舞ってみせた。

時間は三分程度だろうか、案外速く終わった。

俺は素直に、浄縁神楽に感動した。

Bも笑顔で拍手をしていた。

 

八月十四日 辿静祭前日 夕方・・・

夜の予定を三人で再度確認し、各々の屋敷へ戻った。

夕飯を取り、俺は懐中電灯や虫払いの粉、何かあった時の自作の笛を用意し、準備を整えた。

 

八月十四日 辿静祭前日 夜・・・

夜七時半になったので、俺は両親に、「Bの家に忘れ物を取って来る」と言い、Bの家に向かった。

Bの姿が屋敷の待ち合わせ場所に無かった事から、Bは既に家から出ているらしい。

俺はAとの待ち合わせ場所に向かった。

 

A「お待たせー(^^)/」

俺「両親は大丈夫か?」

A「浄縁神楽の練習をしてくるって言って、抜け出してきた」

俺「そっか、Bが待ち合わせ場所にいなかったんだよ」

A「そうなの!?、予定通りにいくのかな」

 

数十分してBが到着した。

 

俺「どこいってたんだよ!」

B「ごめん!、開けておいた有刺鉄線の確認に行ってた。直されていたら元も子もないからな。直されていなかったから、一先ずはいけそうだ」

A「そうなんだ、そろそろいこっか!」

俺「ああ、数分で着くし、準備確認しながら行こう」

B「了解」

 

Bが開けた穴の入り口までは、なるべく人通りが少ない所を通って向かった。

 

俺「やっぱり、神主一族の人達が見回っているな」

 

はっきりとは見えなかったが、多くの人影が巡回しているように見えた。

 

B「隙を見て行こう」

A「先頭はBが行ってね、私と俺君は場所を知らないんだから」

B「分かった」

 

人影が穴の傍を離れた隙に、俺達は移動した。

俺は我先にと穴を潜ろうとした。

 

俺「おいB!、穴通りにくいぞ!」

B「潜れば行けるって」

 

俺は服の背中を有刺鉄線に引っ掻けながらも、穴を抜けた。

BとAも難無く穴を抜け、森の中に入った。

 

俺「ここからどうするんだ?」

B「この森を北東に抜ければ、獣道へ出る筈だから、一先ずはそこに向かう」

A「森の中、何か不気味」

俺「ああ」

 

俺達は懐中電灯を灯し、獣道へ向かって歩き出した。

山の中の村に住んでいるとは言え、多くの獣が徘徊する森、俺達は獣が動き出す夜の森に入った事が無かった。

山犬の遠吠えが響き渡り、足元には蛇や虫がたくさん。

俺とBは平気だが、Aがずっと俺の袖を掴んでいることから、やっぱり女子なんだなと思う所もあった。

歩き始めてから、軽く三十分は経ったと思う。

獣道にはまだ出ない。

 

俺「おいB、まだ道に出ないのかよ?方向間違えて無いか?」

B「方位磁針を使っているから、そうはならないと思うが」

俺「少し見せてみ」

B「ほら」

俺「確かに、方向はあっているな」

A「大丈夫なの?」

俺「ここまで入ってきた以上、今から帰るとしても森の中で迷うだけだから、獣道へ出るまで歩くしかない」

A「そっか」

B「行くぞ」

 

俺達は歩きだした。

と、歩き出して五分程経った時の事だった。

獣道へ出たのだ。

 

俺「この獣道であってたか?」

B「多分そうだと思う、時間的に」

A「どうする?」

俺「確認する為に、この先にある筈の障芽池まで行くっていうのは?」

B「だな」

A「障芽池にあまり近づかないようにね」

 

俺とBは、そもそも障芽池を見た事すら無く、A自身も小さい頃に一度両親と行ったきりだそうだ。

なので、障芽池に続く道かも分からなかったから、祠に行く前に確かめる必要があった。

それから数分程度、歩いた時の事・・・

 

B「獣の声とかしなくなったな」

俺「確かに、山犬の遠吠えとかも聞こえなくなった」

俺「どうしたA?」

 

Aの元気が無かった。

 

A「実は、この獣道へ出た時から何か寒気がしてて」

俺「寒気、大丈夫か?」

B「上着とか、貸すぜ」

 

Aはワンピース姿なので、夜の夏で寒いのも無理はないと思った。

 

A「何かね、肌に直接くるような寒気じゃなくて、心に直接来るような寒気なのよ」

 

俺達はAの状態が、良くない事に気が付いていた。

Aは精神的に疲れている時とかに、「何かね」と会話を始めるからだ。

 

俺「引き返すか?」

B「だが、障芽池を確認しない事には道に迷うだけだぜ」

俺「それもそうか、行けそうかA?」

A「少しなら大丈夫、行こ?」

俺「分かった、何かあったら遠慮なく言いなよ」

B「少し歩く速度を速めるか?」

俺「どうするA?」

A「今のままで良いよ」

俺「分かった」

 

この時、俺は本能的に良くない感覚を捉えて始めていた。

これが第六感というのかどうかは分からないが・・・

さらに暫く歩いたのち・・・

 

B「お?」

俺「どうした?」

A「・・・・・・」

 

Bが何か気付いたようだ。

 

B「この先に小屋があるぜ、あそこで少し休んでいかないか?」

俺「小屋?」

 

確かに獣道の先には小屋があった。

 

A「そこで休も?」

俺「ああ」

 

Aの身が万全で無い以上、そこで休む事にした。

俺は何故か、そこに小屋がある事に違和感を感じなかった。

 

俺「随分と古い小屋だな」

 

小屋は草や木で覆われ、空を見上げても一面を覆われており、月明かりが差し込んでいなかった。

 

B「中に入ろうぜ、Aも俺達も休憩しよう」

俺「ああ」

 

Bは一人で小屋の出入り口に向かって行き、扉を開けた。

小屋の扉は鍵がかかっていなかった。

 

A「・・・・・・・・・・」

 

Aはずっと黙ってしまっている。

中に入ると、Bはそそくさと椅子を探しだし、そこにAを座らせた。

小屋の中は、椅子や机、包丁のような物等、色々な物が転がっており、何かの異臭も感じられた。

Aは椅子に座り、Bは小屋の周囲を物色している。

俺は小屋の中を調べる事にした。

物が散乱している場所から、角を曲がり奥へ行った所に扉があった。

 

俺「なんだこの扉」

 

俺は扉を開けようとした。

その時、中から・・・

 

「・・・・ポーン・・・・・・・・ポーン」

 

と言うような物音が聞こえてきた。

俺は一瞬だけ手を止めたが、好奇心が勝り扉を開けてしまった。

扉の中は和式便所で、変な異臭はここから出ている事が分かった。

和式便所の窓は割れており、外の森が見える。

なんだと思い、便所を出ようとした時・・・

 

「ああ・・・・ああああああ・・・ああああああ」

 

と言った声が後ろから聞こえた。

 

俺「!?」

 

その声は捻り出した様な声で、声だけでこちらを見ている気配がした。

 

俺「・・・・・・・・」

 

俺は立ち止まってしまった。

後ろを振り向こうにも、恐怖心が勝り、硬直してしまった。

 

「あああ・・・・あああああああああ・・・・」

 

声が聞こえてくる・・・

ゆっくりゆっくりと、近づいてくる感じがした。

すると、その瞬間・・・

 

B「おい!、何やってる!」

 

と、Bが小屋に戻ってきた。

同時に後ろの声は消えた。

その瞬間に俺はBに引かれ、Bは思いっ切り扉を閉めた。

 

俺「・・・・・・・・・・・・」

B「おい!、大丈夫か!」

俺「ああ、Bか」

B「ったく、Aもお前も大丈夫かよ!、Aは奥の椅子で寝ちまってるし、お前は扉の前で失禁しながら立ち尽くしちまってるし!」

 

俺は失禁していた。

恐怖の余り、自分でも気付いていなかったのだ。

俺は今体験したことをBに話した。

 

B「それが何かは分からないが、とにかくこの小屋から出る方がよさそうだな」

俺「だな」

B「Aも連れて出るか」

 

俺達は物が散乱している部屋に戻った。

 

俺「おい、Aは?」

B「あ?、あれ、そこの椅子にいた筈なのに」

 

いつの間にかAが椅子からいなくなっていた。

と、部屋の角の所から足音がした。

 

俺「おいA!」

 

部屋の角の所に行くと、壁と同化した扉があった。

 

B「なんだその扉」

 

扉を開けると、階段があった。

二階へと続く階段だ。

俺は正直、この小屋に二階があった事に気付いていなかった。

外から見ても二階と思われる所は全て、木や草で覆われていたからだ。

 

俺「二階にAは行ったのか?」

B「そうだろ、小屋の入り口の扉も閉まってるし」

 

俺とBは二階の階段をゆっくりと歩いた。

速く歩けば抜け落ちそうな程、階段の木は腐っており、朽ちている。

そして二階の部屋の扉を開けようとした時・・・

 

B「おい俺!、待て」

俺「何だ?」

B「扉を良く見ろ」

 

扉は数百枚と言える数のお札で閉じられており、扉の両端には盛り塩があった。

だが、その盛り塩は黒く、変色していた。

 

B「扉の雰囲気からして、ここはやばいと思う。だが、その扉と壁の所のお札が破られているから、Aはこの中にいる」

俺「行くしかないだろ」

B「俺が開ける」

 

Bはそう言うと、思いっ切り扉を蹴飛ばした。

その瞬間、Bは何かの強い力で吹き飛ばされ、階段の一番下へ落ちた。

 

俺「おいB!」

B「俺!!!、部屋の中を見ろ!!!!」

 

俺は部屋の中を見た。

中にはAが立っていたが、様子がおかしい。

こちらの方を見て、Aは両手を真横に上げている。

 

俺「A!!!!」

 

と言い、駆け寄ろうとした瞬間、人の形をした黒い影の様な「何か」がAの後ろから現れ、赤く濁った眼で俺を睨み、追いかけてきたのだ。

 

俺「!?」

 

俺は咄嗟に扉を閉め、黒く濁った塩を掴み、階段を駆け下りた。

下に落ちたBは、落ちていた包丁を手にし、身構えていた。

 

俺「B!!逃げろ」

B「Aがいるんだぞ!!」

俺「!!」

 

その時、和式便所のある方向からも黒い何かが近づいてきた。

 

B「クソッ!!!」

 

Bは包丁を持ったまま、俺と小屋を出たのだが、その瞬間・・・

 

A「きゃあああああああああああああああああああああああああああ」

 

Aの悲鳴が小屋から響いた。

 

俺「A!?」

B「クソオオオオオオオオオオ」

 

Bが小屋に戻ろうとするが、黒い何かが追ってくる。

 

「あああああ・・・・あああああああああああああ」

 

呻き声を上げながら迫ってくる黒い何かに、Bは持っていた包丁を投げ、俺は掴んでいた塩の塊を投げた。

 

「あああああああああああああああああああ」

 

黒い何かの動きが止まった隙に、俺とBは逃げた。

獣道を無我夢中で走って、途中で何度も転んだ。

正直、この辺りの記憶は曖昧で、良く覚えていない。

数分程全力で走り続け、俺が何度目かの転倒をした時・・・

 

「ああああああああああ」

 

耳元で声がした。

それから俺達は無我夢中で走り続け、障芽池の森の周囲に張られた有刺鉄線の前に出た。

俺とBは無我夢中で外の大人達に助けを求め、自作の笛を吹いた。

それに気づいた神主一族の大人達に助けられた。

 

俺とBが障芽池の森から出てきた事を知り、それは直ぐに村中に知れ渡り、俺とBの両親に家族、神主一族の他にも多くの村人が障芽池の森の入り口付近に集まった。

何も言わずとも、俺とBの服がボロボロである事から大体の検討が付いたらしく、直ぐに神社の本殿へ連れてかれた。

既に本殿には村人全員が召集されており、異様な雰囲気だったのを覚えている。

 

神主「最初にお前達に憑いた存在を払う、辛いのを覚悟しておけ」

 

と言い、俺とBに無理矢理に酒や酢といった物を飲ませ、身体中に塩を掛けた。

さらに思いっ切り背中を叩かれたと同時に、俺とBは何かを吐いた。

蝋燭の火に照らされた嘔吐物を見ると、俺は無数の髪の毛を、Bは何枚かのお札のような紙を吐いていた。

背中に文字を書かれたと同時に、神主一族による祝詞が始まると、俺とBはそれから何度も何度も嘔吐し、嘔吐物の中には虫のような生き物がいた。

数時間に渡るお祓いの後、俺達は風呂に入らされ、本殿に戻った。

 

神主「お前達が何をしてきたのか、それから聞こう」

 

神主と神主一族、そして村人の睨み付ける様な視線の中、俺とBは何をしてきたのかを話した。

俺とBが事の話をしている途中に、神主は俺とBを思いっ切り殴った。

神主の妻、つまりAの母も話を最後まで聞いた瞬間に気絶してしまったり、俺やBの両親もずっと俯いたままだった。

両親、親族に迷惑をかけた俺は、村から迫害されると思っていた。

 

神主「話を聞けば聞くほど、俄かに信じられんような内容だが、今から私や一族が話す事は、もっと信じられんような内容だ。心して聞け」

 

話を聞いた神主や神主一族が語った内容、教えてくれた内容を纏めると、俺達が行った小屋というのは、村の伝承に語られる「鬼小屋伝説」と呼ばれる伝説上の小屋だそうだ。

村人の殆どはこの伝説を知っており、俺とBの話を聞いていた村人の中には・・・

 

村人「本当に小屋があるとはね~」

村人「昔は捜した捜したwwww」

 

と言う者が多くいた。

神主によれば、この小屋は伝説では無く実在するが、小屋の存在自体から招かれなければ行く事は出来ないらしい・・・

神主自身も過去に、この小屋を見つけようと捜した事があるそうだ。

しかし、その時は見つからなかったと言う・・・

 

小屋に招かれれば、招かれた者は無意識に小屋へ向かうようになる・・・

その場合、小屋以外の目的で障芽池の森へ入ると、その目的の先には小屋が現れる。

要約すると、俺達はこの小屋に招かれてしまった為、目的であった障芽池や森の祠に辿り着く事が出来なかった。

神主一族の長老によれば、この小屋の名前は鬼小屋だが、中に住んでいるのは鬼でも幽霊でも無いそうだ。

この小屋の中で見た黒い何かと言うのは、この小屋に住む「障者」と呼ばれる存在との事で、この小屋には二体の障者が住んでおり、男性と女性の障者が住んでいる。

そして男性と女性の障者は、共に元は人間であったそうだ。

 

ここから説明が長くなると思います。

申し訳ない・・・

↓↓↓・・・続きはこちら・・・↓↓↓

『一つの村が消えた話をする(後編)』怖い話シリーズ128

『一つの村が消えた話をする(前編)』怖い話シリーズ127

怖異 恐子
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ゆきキャベツ

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