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『定年直前の真面目な男』怖い話シリーズ132

定年を控えたとある男にまつわる怖ろしい話・・・

『定年直前の真面目な男』

私の会社には定年直前の○○さんと言う方がいます・・・

平日は遅くまで残業し、休日出勤も厭わない・・・

そんな真面目な○○さんでしたがある日・・・

今回は怖ろしい怪談話『定年直前の真面目な男』をお伝えします。

怖異 恐子
皆さん、こんにちは・・・

毎度おなじみ心霊界の石原さとみこと、コワイキョウコです・・・

会社のために必死で働き、そこそこ出世・・・

いずれ来る定年の時を迎えたら・・・

第二の人生はのんびり気ままな老後を過ごす・・・

誰もが思い描くであろう平凡な人生・・・

そんな平凡な人生を送るために必死で会社に尽くして頑張り続ける・・・

平日は毎日残業・・・

休日出勤当たり前・・・

そんな人生の行き着く先には・・・

何が待ってるんでしょうねぇ(汗)

それでは怖い怖い怪談話・・・

『定年直前の真面目な男』

どうぞお楽しみください・・・


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※このお話は3分ほどで読むことができます。

『定年直前の真面目な男』怖い話シリーズ132

私が勤めている会社には、50代でとても仕事熱心な方がおられました。

仮に伊藤さんというふうに呼ばせてもらいますが、伊藤さんは年をとられてから課長になられたので、すごく張りきって仕事をしていました。

平日は遅くまで仕事をして、休日も出勤して仕事をするという具合です。

 

会社は地方に工場があるため、課長になるとその工場に移動することはよくあります。

伊藤さんも仕事ぶりを評価されて、地方勤務の単身赴任になりました。

赴任先でも仕事に対する情熱には変わりなく、以前にも増して仕事をこなすようになっていました。

しかし激務の影響かわかりませんが、伊藤さんは体調を崩してしまい1ヶ月ほど入院することになりました。

ところが入院しているのにもかかわらず、休日には会社に出勤して仕事をしていたそうです。

黙って出勤していたそうですが、たまたま会社にいた人が見かけたので問題になり、注意したもののそれでもやめないで休日に出勤していたそうです。

 

さすがに会社も黙認してはいられなくなり、退院すると地方工場ではなく元の職場に復帰させました。

伊藤さんは移動にがっかりしたそうですが、家族の説得もありやむをえず受け入れたそうです。

会社にでられた伊藤さんを見ると、顔や体がパンパンになっていました。

薬の副作用らしいのですが足つきもおぼつかなくなっていたので、さすがに仕事を控えるのかなと思っていたのですが・・・

やはり変わらず熱心に仕事をこなしていました。

 

伊藤さんは退院してからも何度か短い入院を繰り返していたそうですが、それでも休日には無断で会社に出勤することを続けていました。

するとその頃からおかしな噂が流れてきました。

それは伊藤さんは入院しているはずなので、実は休日に出勤しているのは別の人ではないのか、というものでした。

 

実際に休日出勤していた人が伊藤さんを見かけたのだが、普段は気軽に会話を楽しむのにもくもくとパソコンを操作していて、様子が違うと周りの人が言っているのは聞いていました。

しかし私も会社周辺で車を運転している伊藤さんを見ていたので、恐らく本人なのだろうとあまり気にしていませんでした。

 

そうこうしているうちに、伊藤さんの定年である6月が近づいてきました。

そこで職場の人達と退職祝いを何にしようかと考えていた矢先、伊藤さんが亡くなられたという訃報がはいってきました。

実は伊藤さんは半年ほど前から、もはやほとんど立ち上がることができないほど病気が進行していたらしいです。

この事実を知り、職場は少しパニックになりました。

 

ではあの休日に見かけていた人は誰だったのか?

実際に目撃した人の話では、それは確かに伊藤さんだったと言います。

しかし伊藤さんは、もう半年ほど寝たきりの状態だった・・・

あれほど仕事熱心な方でしたから、きっと退職するまでしっかり仕事をしたかったのかな・・・

なんてみんなで話ながら、不思議なこともあるものだとその時は思いました。

 

そして伊藤さんが亡くなられてから1ヶ月ほど後、仕事が忙しくなり私も休日出勤することになりました。

平日とは違って職場には私以外誰もいないので、自由気ままに仕事をこなしていてふとトイレに行こうとした折、デスクに見慣れたシルエットが見えました。

まさか・・・と思いつつ近づいてみると、そこにはげっそり痩せた伊藤さんがいました。

私が最後に見かけた伊藤さんはパンパンの顔をしていたので、まるで別人のようでしたが・・・

確かにそれは伊藤さんでした。

 

しかし、伊藤さんは既に他界しているので目の前にいるはずがありません。

私はふいに訪れた恐怖で思わず立ち止まってしまいました。

心臓が飛び出るとはこういうことかと実感しました。

しばらく目を離せないでいると、伊藤さんは私の眼の前を横切って休憩所の方に移動していきました。

それを見届けた私は仕事もそっちのけで逃げるように帰宅しました。

 

その後、私は怖くて休日出勤することは断固として拒否しています。

亡くなってからも仕事に打ち込むなんて伊藤さんらしいですが・・・

あの痩せこけた表情は今でも忘れることができません・・・

『定年直前の真面目な男』怖い話シリーズ132

怖異 恐子
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ゆきキャベツ

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