オカルト・怖い話

『ヒロコちゃん』怖い話シリーズ123

とある小学生たちに起こった怖ろしい話・・・

『ヒロコちゃん』

私が小学生の頃、ヒロコちゃんって言う同級生がいた・・・

父親が問題のある人だったらしく彼女は祖母と2人暮らし・・・

家のママはヒロコちゃんと遊ぶと言うと嫌な顔をして・・・

今回は怖ろしい怪談話『ヒロコちゃん』をお伝えします。

怖異 恐子
皆さん、こんにちは・・・

毎度おなじみ心霊界の石原さとみこと、コワイキョウコです・・・

大人には話せない子供だけの秘密・・・

大抵は他愛もない、ちょっとしたイタズラだったり、溜まり場にしてる場所だったり・・・

でも中には、トラウマレベルのトンでもない秘密を抱えていたり・・・

実は私もそんな秘密を持ってたりするとか・・・しないとか・・・(笑)

それでは怖い怖い怪談話・・・

『ヒロコちゃん』

どうぞお楽しみください・・・

※このお話は3分ほどで読むことができます。

『ヒロコちゃん』怖い話シリーズ123

少し前にクラス会があって、話題になってしまった子供の頃の体験をまとめてみた。

よかったら聞いて。

怖くないかもしれないけど、そのときはスルーしてください。

 

私の実家は結構な田舎にある。

徒歩2分くらいで海ってくらい海の近くなんだけど、その海は底が急に深くなってたりして結構危ない。

もちろん遊泳禁止区域。

しかも電車で2駅くらい行けば、ちょっと有名な海水浴場があったりするから、海水浴とかしてる人はめったにいないかな。

砂浜で、波も穏やか、水もまぁまぁ綺麗だったんだけど。

私は生まれた時からずっとここで暮らしてるから、そんな海でも大好きだった。

だけど、あれが起きてから、私はちょっとだけ、海が怖くなっちゃった。

特に夜の海は苦手。

怪談話とは違うかもしれないけど、ちょっと不思議で、とっても悲しい話。

 

それは私がまだ小学生の頃。

学校が夏休みに入る、少しだけ前の話。

私はその日、友達と花火をする約束をしてた。

その中に、色が白くて、小さい女の子がいた。

彼女は家庭の事情ってやつかな・・・

小さい私にはよく分かんなかったけど、おばあちゃんと二人暮らしだった。

名前はヒロコちゃん・・・

 

うちのママ、すごく優しくていいママなんだけど、ヒロコちゃんと遊ぶって言うといつも少し嫌な顔をした。

小さい頃は知らなかったけど、彼女のお父さん・・・

つまりおばあちゃんの息子さんは、ちょっと問題がある人だったみたい。

知ったのは随分後だったけど、まぁお決まりの酒、金、女にだらしない人だったそうだ。

それに詳しくは解らないけど夜中に急にやってきて暴れたりしたらしく、ご近所の間では噂になってたようだ。

ママとしては心配だったんだと大人になった今では思う。

 

そんな訳で、その日私はママに嘘をついて、友達みんなで花火をするよとしか言わずに出かけた。

ヒロコちゃんも来るってこと、隠したの。

その日の午後8時すぎ・・・

海に着くと、みんなの騒ぐ声が聞こえた。

 

暗いから顔なんて見えないけど、シルエットと話し声で、あそこら辺にいるなって分かったから、私もそこへ砂浜に足を取られながらも駆け付けた。

みんなは私が着くと待ち切れなかったのか、すぐに花火を始めた。

私はヒロコちゃんまだなんだな、って気付いたんだけど、その内来るかって気楽に考えて、その輪に加わった。

子供だけの花火って、とっても嬉しくてさ。

なんかみんな変にテンションあがっちゃって、いつも以上に騒ぎまくってたのを覚えてる。

 

はしゃぎまくってる内に、花火が残り少なくなって、あとはメインのロケット花火を残すだけになった。

だけど、ヒロコちゃんはまだ来てなかった。

流石にメインを先にやっちゃうのは悪い気がして、ヒロコちゃんが来るまで待とうって私は言ったんだけど・・・

みんなは今日はもう彼女は来ないよって・・・。

確かに、結構遅い時間になってそうだったし結局、私も賛成してしまった。

ロケット花火ってさ、別に綺麗でも何でもないんだけど、なんか子供心にぐっとくるものがあるよね?

なんだかんだ言っても、私も早くロケット花火がしたくて仕方なかったんだと思う。

 

いけないって分かってたんだけど、私達は海に向かってロケット花火を打つことにしたのね。

今は本当にそんなことしなければよかったって思ってる。

あれがすごくいけないことだったってことも。

 

ひゅーんって音を立てながら、海に向かって、1本の光の矢が進んで、それから消えてく。

ひゅーんって飛んでくロケット花火を目で追って、海を見つめてるとね、真っ暗な海面に何かが見えたんだ。

その瞬間、誰も言葉を発しなくなったから、たぶん全員が気付いてたんだと思う・・・

みんな横1列に並だままで、ただ波の音が響いてたんだけど・・・

そこにいたのは、ヒロコちゃんだった。

 

彼女は仰向けになって、波の動きに合わせてふわふわと浮いてた。

おかしいんだよ・・・

けっこう遠くて、しかも真っ暗だったのに・・・

見えるわけなんてないのに・・・

そもそも、それが人であることすら分からないなんだけど・・・

でも、なんでか全員分かってるみたいだった。

私達の誰ひとり、そんな彼女を見ても叫び声ひとつあげなかった。

誰も目を逸らさない。

ただひたすら、浮かんでる彼女を見てた。

 

次の日、私達は担任の先生に彼女が行方不明になったって聞いた。

後で知ったんだけど、一緒に花火をした全員が、昨日の花火に彼女が来ることを親に内緒にしてたんだって。

私達は、あのことを他の誰かに話すこともなかったし、内輪で話題にすることもほぼなかった。

すごく怖かったし、何故か絶対に口にしちゃいけない雰囲気だった。

そして彼女が見つかることがないまま夏休みになって、学期が始まると・・・

元々、大人しかった彼女がいないことを気にする人は誰もいなくなってた。

ママ達の噂では、彼女のお父さんがどうかしちゃったんじゃないかってことになってるけど、本当の所は分からない。

 

それから数十年後・・・

私はその小学校のクラス会に参加したんだけど、その時にヒロコちゃんの話が出た。

そこであの時、花火に参加してた子の一人がだいぶ酔った様子で、泣きそうな声でこんなことを言った・・・

 

「自分で海に入っていったんだよ。みんなが帰れって言ったらさ・・・ヒロコちゃん・・・自分で・・・」

 

今でも思い出す・・・

波にゆらゆら揺れる彼女と、彼女を見つめる、皆の真剣な目・・・

罪悪感なのか・・・

恐怖心なのか・・・

それとも・・・

たぶん一生忘れられないと思う・・・

暑い夏の出来事・・・

『ヒロコちゃん』怖い話シリーズ123

怖異 恐子
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ゆきキャベツ

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