オカルト・怖い話

『 地下の井戸』怖い話シリーズ50

2020年6月8日

大都会の闇に潜む恐ろしい話・・・

『 地下の井戸』

とある暴力団関係者・・・アウトロー・・・

その下っ端で働く男は、ある日、上の人間に呼び出された・・・

荷物を運ぶのを手伝えと言う・・・

言われるまま車に荷物を積んで、向かった先には・・・

今回は世にも恐ろしい怪談話『 地下の井戸』をお伝えします。

怖異 恐子
皆さん、こんにちは・・・

毎度おなじみ心霊界の石原さとみこと、コワイキョウコです・・・

東京の首都高を走っていると突然、分岐した道があったりしますよね・・・

当然、一般車両は入れないようになっているけど、何やら先の方までいけそうな気配の道・・・

一体、何のためにあり、何に使われているのか・・・

もしかしたら、そこには・・・

それでは怖い怖い怪談話・・・

『 地下の井戸』

どうぞお楽しみください・・・

※このお話は7分ほどで読むことができます。

『 地下の井戸』怖い話シリーズ50

 

これを書いたら、昔の仲間なら俺が誰だか分かると思う。

バレたら相当やばい。

まだ生きてるって知られたら、また探しにかかるだろう。

でも俺が書かなきゃ、あの井戸の存在は闇に葬られたままだ。

だから書こうと思う。

文章作るの下手だし、かなり長くなった。

しかも怪談じゃないから、興味の湧いた人だけ読んで欲しい。

 

今から数年前の話。

俺は東京にある、某組織の若手幹部に使われてた。

Nさんって人。

今やそういう組織も日々の微妙にヤバい仕事はアウトソーシングですよ。

それも組織じゃなく、個人が雇うの。

警察が介入してきたら、トカゲの尻尾切りってやつね。

その代わり金まわりは、かなり良かったよ。

 

俺は都内の比較的、金持ちの日本人や外国人が遊ぶ街で働いてた。

日々のヤバい仕事っていうとすごそうだけど、実際に俺がやってたのはワンボックスで花屋に花取りに行って代金を払う。

その花を俺がキャバクラから、高級クラブまで配達する。

キャバクラ行くと必ず、花置いてあんだろ?

あれだよ。

 

で、花配りながら集金して回る。

もちろん、花屋に渡した代金の3~5倍はもらうんだけどね。

3万が10万、5万が25万になったりするわけよ。

月に3千万くらいにはなったね。

 

俺がやるヤバい仕事ってのは、最初はその程度だった。

それでも結構、真面目にやってた。

相手も海千山千のが多いからさ。

相手が若僧だと思うと、なめてかかって値切ろうとするバカもいるんだよね。

その度に暴力沙汰起こしてたんじゃ、仕事になんないわけだ。

起こす奴もいるけど。

でも、警察に呼ばれたら負けだからね。

次から金取れなくなって、組から睨まれる。

タダじゃすまんよ。

そういう時、俺は粘り強く話す。

話すけど、肝心なトコは絶対譲らない。

一円も値切らせないし、ひとつの条件もつけさせない。

 

前置き長くなったけど、まあうまくやってるってんでNさんの舎弟のSさん、Kさんなんかに結構信頼されるようになった。

それで時々、花の配達に使ってるワンボックスで、夜中に呼び出されるようになった。

積んでるのは、多分ドラム缶とか段ボール。

 

荷物積む時は、俺は運転席から出ない事になってたし、後ろは目張りされてて見えないから。

それで、ベンツの後ろついてくだけ。

荷物を下ろしたら、少し離れたところで待たされて、またベンツについて帰って金もらって終了。

何を運んでたなんて知らない。

その代わり1回の仕事で、花の配達の1ヶ月分のバイト代をもらえた。

 

ある夜、また呼び出された。

行ってみると、いつもとメンツが違う。

いつもはSさんかKさんと、部下の若い人だった。

ところがその日は、幹部のNさんがいて、他にはSさん、Kさんの3人だけ。

3人とも異様に緊張してイラついてて、明らかに普通じゃない雰囲気。

俺が着いても・・・

 

「エンジン切って待ってろ」

 

って言ったまま、ボソボソ何か話してた。

 

「・・・はこのまま帰せ」

「あいつは大丈夫ですよ。それより・・・」

 

途切れ途切れに会話が聞こえてたけど、結局俺は運転していく事になった。

何だか嫌な予感がしたけどね。

後ろのハッチが開いて、何か積んでるのが分かった。

でも、今回はドラム缶とか段ボールじゃなかった。

置いた時の音がね、いつもと違ってた。

重そうなもんではあったけど。

更に変だったのがSさんとKさんが同乗した事。

 

いつもは俺一人でベンツについてくだけなのに。

しかも、いきなり首都高に入った。

あそこはカメラもあるし出入口にはNシステムもあるから、こういう仕事の時は一般道でもNシステムは回避して走るのに。

首都高の環状線はさ、皇居を見下ろしちゃいけないとかでさ、何ヵ所か地下に入るよね。

恥ずかしながら俺は運転には自信あるけど、道覚えるのは苦手なんだよね。

方向音痴だし。

 

多分環状線を2周くらいしたと思う。

車が途切れたところで、突然Nさんが乗るベンツがトンネルの中でハザード出した。

それまでSさんもKさんも、ひと言もしゃべらなかったけどSさんが・・・

 

「右の車線に入って止めろ」

 

と言われたので、車に止めたよ。

そこって合流地点だった。

 

「中洲みたいになってるとこに、バックで車入れろ」

 

そう言われたので、その通りにしてライトを消した。

両側柱になってて、普通に走ってる車からは振り返って見たとしても、なかなか見つけられないと思う。

まあ見つけたとしても、かかわり合いにならない方が良いけどね。

Nさんが乗ったベンツは、そのまま走り去った。

SさんとKさんは、二人で荷物を下ろしてたけど、俺にも下りて来いって。

俺はこの時も嫌な予感がした。

今まで呼ばれた事なんて無かったし。

 

SさんとKさんが、二人で担ぎ上げてるビニールの袋。

映画とかでよく見る、死体袋とかいう黒いやつ。

もう中身は、絶対に人間としか思えない。

とんでもない事に巻き込まれたって思って、腰が痛くなった。

多分腰抜ける寸前だったんだろう。

何で組の人じゃなくて俺なの?ってその時は思ったけど、その理由も後になれば分かったんだけど。

それでSさんが・・・

 

「ポケットに鍵があるから、それ使って金網の扉の鍵開けろ」

 

と言われたので、言う通りにした。

金網開けて5~6メートルで、また扉にぶつかる。

扉というより、鉄柵って感じかな。

だって開ける為の把手とか無いし、第一鍵穴すら見当たらない。

どうすんだろうな~と思ったら、またSさんが別のポケットを指定。

今度は大小ひとつずつの鍵。

 

コンクリの壁にステンレスの小さい蓋が付いてて、それを小さい方の鍵で開ける。

中に円筒形の鍵穴があって、それは大きい方の鍵。

それを回すとガチャって音がして、柵が少し動いた。

右から左に柵が開いた。

壁の中まで柵が食い込んでて、その中でロックされてる。

鍵を壊して侵入は出来ない構造らしい。

 

更に先はもう真っ暗。

マグライトをつけて先に進んだけど、すぐに鉄扉に当たった。

「無断立入厳禁防衛施設庁」って書いてあった。

これは不思議だった。

だって、ここ道路公団の施設だよね?

ていうか、こんなとこ入って平気なのかなって思った。

 

まあこの人たちのやる事だから、抜かりは無いとは思うんだけど、監視カメラとかあるんじゃないのって不安になった。

まあ中に進んだら、もっと不思議なもんが待ってたんだけどね。

鉄の扉も、さっきの鉄柵と同じ要領で開いて俺たちは中に入った。

 

SさんもKさんも、うっすら汗かき始めてて、随分重そうだったけど運ぶの手伝えとは言わなかった。

中に入るとすぐ階段で、ひたすら下に下りて行った。

結構下りた。

時々二人が止まって、肩に担ぎ上げた「荷物」を担ぎ直してた。

 

階段を下りると、ものすごく広い通路が左右に伸びてた。

多分、幅10mくらいあったと思う。

下りたところで、ひと休みした。

通路はところどころ電灯がついてて、すごく薄暗いけど一応ライトは無しで歩けた。

俺たちは反対側に渡って(って言いたくなるくらい広い)、左手に向かって進んだ。

 

時々休みながら、どれくらい進んだかな。

通路自体は分岐はしてない。

ひたすら真っ直ぐで、左右の壁に時々鉄の扉がついてる。

ある扉の前でSさんが止まって言った。

 

「これじゃねえか。これだろ」

 

そこには「帝国陸軍第十三号坑道」って書いてあった。

字体は古かったけど。

信じられる?

今の日本にあるのは陸上自衛隊でしょ。

何十年も前のトンネルなのか、これは?

 

SさんもKさんも、汗だくで息も荒くなってたから扉を入ったところで、また「荷物」を下ろして休憩する事にした。

二人とも無言だったから、俺も黙ってた。

しばらくして、Sさんが・・・」

 

「そろそろ行こう」

 

って言って、袋の片側、多分「足」がある側を持った。

そしたら・・・

 

「袋」が突然暴れた。

 

Sさんは不意を突かれて手を放してしまい、弾みで反対側の袋の口から顔が出てきた。

猿ぐつわを噛まされた、ちょっと小太りの男。

どっかで見たことある・・・

 

それもあるけど分かっていながらも、袋からリアルに人が、しかも生きた人が出てきた事にビビッて俺は固まってた。

SさんがKさんに・・・

 

「おい何で目を覚ました!」

「クスリ打てクスリ!」

「袋に戻せ!」

 

とか言ってるのが聞こえた。

Kさんは・・・

 

「クスリは持って無い」

 

とか、何とか答えてた。

その間も「袋」は暴れてた。

暴れてたというか、体を縛られてるらしく、激しく身をよじって袋から出ようとしていた。

 

するとSさんが袋の上から腹のあたりを、踏んづけるように蹴った。

一瞬「袋」の動きが止まったけど・・・

 

「ウ~!」

 

とすごい唸り声を上げながら、また暴れ出した。

Sさんは腹のあたりを、構わず蹴り続けた。

それでも「袋」は暴れ続けた。

やがてKさんも加わって、二人で滅茶苦茶に蹴り始めた。

パキって音が、2、3回立て続けにした。

多分肋骨が折れたんだと思う。

 

「袋」の動きが止まった。

その時なぜか男は頭を振って、俺に気が付いた。

それまですごい形相で暴れていた男が、急に泣きそうな顔で俺を見つめた。

Sさんが・・・

 

「袋に戻せ」

 

と言うと、Kさんが男の肩のあたりを足で抑えながら袋を引っ張って男を中に戻した。

今でもその光景はスローモーションの映像のまま、俺の記憶に残ってる。
男は袋に戻されるまで、ずっと俺を見てた。

一生忘れられない。

 

Kさんが袋の口をきつく縛るのを確認するとSさんは更に数回、袋を蹴った。

 

「これくらいかな。殺しちゃまずいからな」

 

Sさんはそう言って、俺を見た。

 

「お前、こいつの顔を見たか」

「いえ・・・突然だったんで、何が何だか」

 

そう答えるのが精一杯だった。

その時に本当はどこかで見たような気がしたけど、思い出せなかった。

SさんとKさんは、再び動かなくなった「袋」を担ぎ上げた。

それまでと違うのは、真ん中に俺が入ったこと。

もう中身を知ってしまったので、一連托生だ。

 

それから、その13号坑道ってやつを延々歩いた。

今までの広い通路とはうって変わって、幅が3mも無いくらいの狭い通路だった。

右手は常に壁なんだけど左手は時々、下に下りる階段があった。

幅1mちょいくらいの階段で、ほんの数段下りたところに扉がついてた。

何個目か分かんないけど、Sさんがある扉の前で・・・

 

「止まれ」

 

って言った。

そこもまた「帝国陸軍」「帝国陸軍第126号井戸」って書いてあった。

(128だったかも。偶数だった記憶があるけど忘れた)

それで、Sさんに言われるまま中に入った。

 

中は結構広い部屋だった。

小中学校の教室くらいはあったかな。

その真ん中に、確かに井戸があった。

でも蓋が閉まってるの。

重そうな鉄の蓋。

端っこに鎖がついてて、それが天井の滑車につながってた。

 

滑車からぶら下がっている、もうひとつの鎖を引いて回すと蓋についた鎖が徐々に巻き取られて、蓋が開いてく仕掛けになってた。

オレは言われるままに、どんどん鎖を引っ張って蓋を開けていった。

完全に蓋が開いたとこで、二人が「袋」を抱え上げた。

もう分かったよ。

この地底深く、誰も来ない井戸に投げ込んでしまえば二度と出てこないもんね。

でもひとつだけ分からない事があった。

なんで「生きたまま」投げ込む必要があるの?

二人は袋を井戸に落とした。

 

ドボーン!

 

水の中に落ちる音がするはずだった。

でも聞こえてきたのは、バシャッて音。

この井戸、水が枯れてるんじゃないの?って音。

SさんとKさんも顔を見合わせてた。

Sさんが俺の持っているマグライトを見て、顎をしゃくってみせ首を傾げて「井戸を覗け」ってジェスチャーをした。

 

マグライトで照らしてみたけど、最初はぼんやりとしか底まで光が届かなかった。

レンズを少し回して焦点を絞ると、小さいけど底まで光が届いた。

光の輪の中には、「袋」の一部が照らし出されてる。

やっぱり枯れてるみたいで、水はほとんど無い。

そこに手が現れた。

真っ白い手。

さらにつるっぱげで、真っ白な頭頂部。

あれ、さっきの「袋」の人、つるっぱげじゃ無かったよな。

ワケが分かんなくて呆然と考えていたら、また頭が現れた。

え?2人?ますます頭が混乱して、ただ眺めてたら、その頭がすっと上を向いた。

 

目が無い。

 

空洞とかじゃなくて、鼻の穴みたいな小さい穴がついてるだけ。

理解不能な出来事に、俺たちは全員固まってた。

しかも2人だけじゃ無さそうだ。

奴らの周囲でも、何かがうごめいている気配がする。

 

何だあれ?

人間なのか?

なぜ井戸の中にいる?

何をしている?

 

その時、急に扉が開いて人が入ってきた。

俺は驚いてライトを落として、立ち上がってた。

SさんとKさんも。

入ってきたのはNさんだった。

Nさんは俺たちを見て、怪訝そうな顔をした。

 

「S、もう済んだのか」

 

Sさんは少しの間呆然としていたけど、すぐに答えた。

 

「済みました」

 

Nさんは俺たちの様子を見て、俺たちが井戸の中身を見た事を悟ったみたいだった。

 

「見たのか、中を」

 

俺たちはうなずきもせず言葉も発しなかったが、否定しないことが肯定になった。

 

「さっさと蓋閉めろ」

 

言われて俺は、慌てて鎖のところに行って、さっきとは反対側の鎖を引いて回した。

少しずつ蓋が閉まっていく。

 

「余計な事を考えるんじゃねえ。忘れろ」

 

そう言われた。

 

確かにそうなんだけど、ぐるぐる考えた。

「殺しちゃまずい」って、Sさんは言ってた。

Sさん自身も、なぜ殺しちゃだめなのか知らなかったんだと思う。

 

生きたまま落とした理由は?

 

生きたまま・・・あの化け物のような奴らがいるところへ。

考えたく無くなった。

 

俺たちは来た道を戻り、車で道に出た。

今度はSさんとKさんは、Nさんのベンツに乗っていった。

そしてそれが、3人を見た最後になった。

 

俺は思い出していた。

あのとき「袋」に入っていた男の顔を。

最近、出所してきた会長の3男だった。

出来の悪い男というウワサだった。

ケチな仕事で下手を踏み、服役していたらしい。

 

俺は2、3回しか顔を合わせた事が無かったが、大した事無さそうなのに威張り散らしてヤな感じだったのを覚えてる。

だからといって、会長の息子を殺すのはアウトだよ。

死体を隠したっていずれバレる。

それでも出来るだけバレないように、俺を使って運んだんだろうけど。

 

あの出来事から2週間くらいして、Nさんが居なくなった。

「お前も姿をくらませ」って、Sさんから電話があった。

バレたんだ。

会長の息子を殺ったのを。

組から距離をおいていたのが幸いして、俺は逃げ延びる事ができた。

SさんやKさんがどうなったのかは知らない。

あれから数年、俺は人の多い土地を転々としている。

これはあるネットカフェで書いた。

 

もうすぐネットカフェも、身分証を見せないと書き込めなくなるらしい。

これが最後のチャンスだ。

組の人たちがこれを知れば、どこから書いたのか、すぐに突き止めると思う。

だから俺は、この街には二度と戻ってこない。

 

誰かあの井戸を突き止めて欲しい。

なぜ、あの井戸に暴力団なんかが鍵持って入れるのか。

そうしたら、俺の追っ手は皆、捕まるかも知れない。

俺は逃げ延びたい。

これからも逃げ続けるつもりだ。

 

『地下の井戸』怖い話シリーズ50

怖異 恐子
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ゆきキャベツ

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