オカルト・怖い話

『逆吸血鬼と存在しない町』怖い話シリーズ136

2021年4月19日

ちょっと不思議で不気味な怖ろしい話・・・

『逆吸血鬼と存在しない町』

子供の頃の自分は心霊ドラマの影響で・・・

闇や影を極端に恐れていた・・・

それを友達にからかわれ、ついたあだ名が逆吸血鬼・・・

今回は怖ろしい怪談話『逆吸血鬼と存在しない町』をお伝えします。

怖異 恐子
皆さん、こんにちは・・・

毎度おなじみ心霊界の石原さとみこと、コワイキョウコです・・・

子供の頃って、何だか不思議な体験をすることがありますよね・・・

とても美しい場所に行ったはずなのに、もう一度、そこへいこうとしても辿り着けない・・・

たしか近所だったはずなのに、どこだったのか思い出せない・・・

仲の良かった友達のはずなのに、その友達が誰だったのかまるで思い出せない・・・

夢だったのか、記憶違いなのか、単に忘れているだけなのか・・・

そんな体験が私にもあったりします・・・(汗)

それでは怖い怖い怪談話・・・

『逆吸血鬼と存在しない町』

どうぞお楽しみください・・・


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※このお話は7分ほどで読むことができます。

『逆吸血鬼と存在しない町』怖い話シリーズ136

子供のときに見た心霊ドラマのせいで、闇や影を極端に恐れるようになった。

そのせいでクラスメイトには散々からかわれ、よく暗い所に引っ張られ、ついたあだ名が逆吸血鬼・・・

なんだかなあ・・・

 

確かににんにくは大好きで、十字架のペンダントをつけてたし血見たら倒れそうだった。

でも逆吸血鬼はどうかとおもう・・・

それはあだ名ではないだろうと・・・

でも、本気で呼ばれてたし、当時はそう疑問に思ってなかったから子供の感性は理解できない。

 

小さいときから俺には、放浪癖みたいなものがあった。

暗闇を極端に恐れる前は、そのせいで深夜まで家に帰らず近所の人も巻き込んで捜索隊を結成されたあげく、町外れの神社で保護されて親に死ぬほど引っ叩かれたことがあった。

暗闇を恐れている今は、夜になる前に家に戻るようになっていたから親も心配事が一つ減ってホッとしてただろう。

だけど放浪癖は健在・・・

友達と遊ばないときでや休みの日になれば、外に出てあらゆるところを彷徨っていた。

 

休みの日などは、朝7時におきて、10時までに可能な限り遠くまで行って印をつけてから昼までに帰ってきて、次の学校でよく友達に自慢していた。

最高で3駅先まで行ったことある。

歩きで・・・

自転車を手に入れた時はもっと酷くなり、市外まで出たことある。

 

ある日、自転車がパンクしたせいで行動範囲が極端に限定されていた時期があった。

すでに家から学校までなら、長年の放浪で家の裏山を除き全て把握していた自分だが習慣は止められないもので、親に断らず外に出た。

で、そこを見なくても絵が書けるくらい把握していた町内をぶらぶらしていた時、ふと違和感がした場所があった。

 

それは山と川に挟まれた道、川向こうに向かうための橋の掛かっている所。

山の向こうの暗闇に内心びくびくしながら歩いていて、いつもならそのまま通り過ぎるはずだった。

ところが、その日は意外なものを眼にした。

本当なら山に阻まれてT字路になっているはずの場所が交差点になっていたのだ。

 

ここは何十回、何百回も通った場所だから交差点ではないはずである。

昨日は確かにT字路だったはず。

だけど子供だった自分は、その理由をすぐに思いつき、それに納得していた。

 

「きっと深夜にうちに業者が工事をしたんだ」

 

本当なら一日で道路などできる訳がない。

ましてや事前に告知のない道路工事など本来ありえない。

子供ならではの浅はかな勘違い。

当時の俺は好奇心の塊だった。

 

そのせいで心霊番組なんぞを見てしまい、結果として闇恐怖症になり反省していた。

の・・・はずなのに・・・

勘違いですっかり安心した俺は何の疑問もなく、この道がどこに通じているのか知るために踏み込んだ。

恐怖がないと知れば、好奇心は際限なく膨れ上がる。

未知のジャングルを探検する冒険家のごとく、アスファルトの坂道を駆け上がる。

 

いつの間にか、あたりは住宅地・・・

にも関わらず人の気配はしなかった・・・

が、まったく気にならなかった。

この道はニュータウンに繋がるための道だったのだ。

そしてこれらも最近建てられた家なのだ。

だから人の気配がないのは当たり前だと。

 

だが良く考えれば、これほどの規模となると山を丸まる一つ削らなければならない・・・

いつ、そんな工事が行われたのか?

そもそも、道路を作るのと順序が逆になっている。

でも俺はヘリコプターで空輸という、勝手な理屈で納得していた。

子供は効率など考えない。

 

そしてさらに住宅地の向こうへと向かう。

住宅地を横断したときにようやく気づく。

これだけ歩いたら、山の向こうの学校についてしまっているのでは?

そして、学校の近くにこんな住宅地あったっけ?

何故なら、目の前には自分が通っている学校があったから。

 

「木曜の怪談」という番組で、宇宙人が作った町という話があった。

当時、親に夜寝れなくなるからと注意されながらも、好奇心と恐怖心の狭間で観ていた

一番のお気に入りだった番組である。

その話では、主人公の少年たちは町から人が消えたことに気づき、その原因が宇宙人による誘拐であると気づく・・・

実は主人公たちのいる町自体が、宇宙人によって作られたコピーであり、主人公たちのほうが実は誘拐されていたという話。

 

その後、主人公たちは地球のUFOを追跡するライター達の協力で無事脱出する。

俺はそこにいるのではないか?

そう思った瞬間、今まで理屈という檻に閉じ込められていた恐怖と疑問が復活した。

そう、たった一日で町なんてできるわけがない!

ならこれは何だ?

後ろを振り返る。

相変わらず人の気配のない住宅地・・・

これは町に偽装したUFOだ!

そう結論した。

そして俺のおかれている立場に恐怖した。

これじゃあ、罠に飛び込んだも同然ではないか?

 

目の前にはよく親しんだ学校がある。

そこには遠目ながら遊んでいる子供たちがいた。

宇宙人に気づかれる前に急いで逃げないと・・・

そうして俺は走った。

必死に目の前の道を走った。

そして、目の前の車が走っている普通の道路を渡り、学校の校舎の中に飛び込んだところで、ようやく一息ついた。

 

グラウンドでは、野球部の少年たちが練習をしていた。

それをみて、安心する。

そして横目で、そっと先ほどまでいた住宅地の様子を伺う。

それは山の上に覆いかぶさるように存在した。

だが自分の記憶をいくら探っても、あの山に住宅地が存在した記憶がない。

何より、ほかの人がまるでその住宅地を存在してないかのように扱っているのが不気味だった。

事実、どの車も住宅地に入ろうとしない。

 

そして最も異常なのは、信号。

それは例の住宅地に続く交差点の信号。

信号は赤になっているのに、車が止まらないという事実。

きっと運転手には信号どころか交差点の存在すら分からないに違いない。

あれには関らない方がいい。

それが俺の出した結論だった。

だから、学校を出て普通の通学路を通って帰ろうと思った。

そして今日はゼルダをやって時間をつぶそう。

 

「おい!」

 

突然声をかけられた俺は、脱兎のごとく走り出した。

 

「あ、まてって!」

 

そういわれて待つやつなどいない。

(宇宙人に見つかった)

そう思ったからだ。

チラッと見た感じだと、若い普通の男性みたいだったがそのときは冷静ではなかった。

だが、子供が大人に勝てるはずもなく、程なくして俺はつかまった。

それでも、鳴いて喚いて噛み付く俺を男は必死になだめてくれたおかげでだいぶ落ち着いた。

 

「本当に、本当に宇宙人じゃないの?」

「違うから・・・」

 

半分疲れたかのように男はいった。

見た感じ普通の男、どこにでもいるような大学生か高校生だった。

それでも宇宙人ではないかと疑った俺はいろいろ質問をした。

 

「おっさんの血の色は何色?」

「おっさんじゃねえ・・・・・赤」

「なら血液型は?」

「A型」

「星座は?」

「水がめ座」

「なら今日の運勢は?」

「最下位だったな」

とかetc・・・

 

「どこをどう見たら、宇宙人に見えるの?俺が?」

 

半分あきれている。

確かに眼は真っ黒ではないが、でもコンタクトをしている可能性がある。

だから確かめるためにチョキで男の目をぶっ指した。

 

「~~~~~~」

 

男はそこら辺を転げまわった。

 

「ごめんなさい」

 

数分後、立ち上がった男がしたことはまず目をよく洗うことであった。

目は真っ赤になっているから、コンタクトではなかった。

 

「コンタクトをしているわけではないとわかったな?」

 

男はため息をついた。

完全にあきれているようだが怒ってはいなかった。

 

「俺もう家に帰るから。ありがとうございました」

「ちょっと待って」

 

俺は振り向いた。

 

「君は何年何組?」

「6年2組ですが、何か?」

「この教室は何年何組かわかる?」

 

何をいってるんだこの人は?と思った。

ここは東校舎の二階で二番目の教室なんだから、

 

「5年2組でしょ?」

「残念、外れ」

 

嘘だと思うなら札を見てみなよ、といわれて廊下を見ると1年2組だった。

そんな馬鹿な。

俺はすぐに三階に向かった。

自分の教室は「2年2組だって?」

すぐに東校舎を出て西校舎に向かう。

3階にいくとそこに6年2組があった。

だがそこには、俺の席がなかった。

呆然としていた自分の背後にあの男がいた。

 

「君が何をいいたいかはわかっている。俺はそのためにここにいるしな」

「ここ、何処?」

「少なくとも君の居ていいところではないだろうね」

 

そういえば、なぜこの男はここに居るのだろう?

ここは小学校で、彼が学校の関係者にはとても見えなかった。

 

「君が君に家に帰ったとしても、そこはきっと君の家ではないだろう。だから、俺の話を聞いてくれな・・・あ!」

 

俺は走った。

逃げるためではなく確かめるために。

学校を出て1分ほどのところに友達の家がある。

30秒足らずで友達の家の前に着く、そこの表札は確かに友達の苗字だった。

ホッとした。

チャイムを鳴らした。

そうしたらいつものようで、オバさんが応対してくれる。

そう思ったのだ。

 

「はい?どちら様?」

 

だが出てきたのは、オバサンではなく若い男だった。

 

「あの、横井です。正人くんはいますか?」

 

見たことない男だが、きっと正人のお兄さんだと思った。

 

「正人は俺のことだが?」

 

え、何それ?目の前の男が正人?

どう・・・・・・いう・・・・・・こと

そこにさっきの男が走ってきた。

 

「ああ、すまん。この子、俺の親戚でな。じゃあ、そういうことで」

「あ、おい!」

 

男は俺を担いで公園に連れて行く。

公園のベンチに二人で座っていた。

 

「ねえ、どういうこと?あの男が正人だって嘘だよね?」

「ああ、嘘だ」

 

男は真顔でそういった。

 

「あの正人は正人であって正人ではない。だがこれでわかっただろう?此処は君のいていい場所じゃない」

「どうすればいい?」

「帰ることだ。可能な限り早く。俺は君を帰すためにここに居る。そういうことになっている」

 

男は立ち上がる。

ついて来る様にいわれたのでついていくと、そこは例の住宅地前の交差点だった。

 

「もう判ってると思うけど、君が君の家に帰るためには、この交差点を渡り住宅地をもう一回抜けないといけない」

 

そんなの無理だ。

こんな訳の判らない所通るくらいなら、ここに居た方がいい。

 

「駄目だ。此処は君の居ていい場所ではない」

 

そんな気持ちは既に見透かされていた。

 

「でも・・・・・・」

「大丈夫。俺も手伝う」

 

俺は男を見た。

何かを確信するかのように男の顔は自信に溢れていた。

 

「でもこの交差点を渡るためには、君の力がないといけない。君が俺の手を握ってこの交差点を越えないと俺はこの先には進めない」

 

だから、と男は手を差し出した。

恐怖心が薄れてゆく。

この男がいれば大丈夫という不思議な安心感があった。

だから、手を握って交差点を渡る。

一歩、二歩・・・

そして交差点を渡りきったとき、男は手を離した。

 

「ここか・・・・・・」

 

男は辺りを見回していた。

 

「ねえ、ここってなんなの?」

「君は知らなくていい。そういうことになっている」

 

それから男はいたずらっぽく笑い。

 

「まあ教えてもいいけど、知ったら帰れなくなるかもよ?それでもいい?」

 

俺は勢いよく首を横に振った。

住宅地は相変わらず人の気配がなかった。

 

「ゴーストタウンって言葉がぴったりくるな」

 

男もまったく同じことを考えていたらしい。

 

「おっさんは此処に来たことがあるの?」

「おっさんじゃねえよ、子供のときに何度かな・・・・・ヤベ」

 

男は俺を担いで、慌てて物陰に隠れた。

ついでに何故か目と口を両手で覆われる。

 

「しっ」

 

おとなしくするようにいわれたので、耳を澄ますと向こうから足音がした。

それはだんだんこちらに向かってくる。

息を潜めてじっと待つ。

やがてそれはすぐ壁の向こうを通り過ぎ、向こうに消えた。

 

「今のは?」

「俺たちと同じ侵入者」

「何で隠れないといけないの?」

「ここでは侵入者同士は会っちゃいけない。そういうことになっている。大事なことだからよく覚えとけ」

「こんなとこ二度と来るもんか!」

「まあ、そうするにこしたことはないよな」

 

男はまるで自嘲するかのよう笑っていた。

何故か気に入らない。

 

「なんなのさ?」

「別に」

 

侵入者をやり過ごしてしばらく歩くと、住宅地の終点が見えてきた。

 

「あそこを出れば、君は元の世界に帰れる」

 

そういった男はふと後ろを振り返った。

 

「どうしたの?」

「気づかれた」

 

誰に?という言葉は飲み込まれた。

何故なら、今まで無人だと思っていた家の窓全てに人の影らしきものが浮かんでいた。

それらははっきりとした輪郭を持っているわけではない。

幽鬼のようなぼんやりとした感じなのに、そこら中から痛いほど視線を感じていた。

何故?ばれてはないはずなのに。

まさかあいつが・・・

そんなことを男はつぶやいていた。

 

「どうやらさっきすれ違ったやつがヘマしたらしいな」

「そんな・・・・・・どうすれば」

「兎に角走れ!」

 

そういって背中を押された。

だが男は走る気配がない。

 

「おっさん!」

「俺は此処までだ。これ以上は行けないんだよ」

「そういうことになってるから?」

 

一瞬、男は真顔になり、そしてニヤリとした。

 

「そういうことだ。覚えとけよ!忘れるなよ逆吸血鬼!」

 

そして男は住宅地の奥に走っていった。

幽鬼達の視線が男のほうに向かっていった。

その隙に俺は駆け出した。

兎に角走る。

後ろからあの黒い影が追ってくる気配がする。

今にも後ろ髪を引かれそうな距離にいるのがわかる。

怖い、怖くて仕方ない。

でも振り返ってはいけない。

 

ドラマとかではこういうところで振り返ったら死ぬ。

そういうことになっているから。

やがて俺は橋の上に居た。

振り返ると、背後には山が聳え立っている。

そして、あの道はなくなっていた。

思わずその場に座り込んだ。

足腰が立たなくなっていた。

しばらくそのままでいたが、やがて足腰にも力が戻った。

空はもう既に赤く染まり、カラスが鳴いている。

 

家に帰らなければ・・・

 

そう思った自分は立ち上がり、改めて道のあった山を見た・・・

そこからは無数の目が一斉にこちらを見返していた・・・

その後の記憶はない。

気がつくと病院に居た。

 

目が覚めて最初に見たのは医者の顔・・・

そして次に看護師さんが脈を測っていた。

次に母親が部屋に飛び込んでくる。

泣いていた。

何故泣いているのか聞いたらさらに泣いた。

夜になって父親もやってきた。

初めて父親の泣き顔をみた。

どうやら一週間も行方不明扱いだったそうだ。

たった数時間で死ぬほど殴られるから、一週間も消えていたらすごく怒られるんじゃないかと思っていたので、これは意外だった。

もし一ヶ月も俺が消えていたらどうなるんだろう?

試したくはないけど、そう思わざるを得ない。

 

翌日警察の人が来て、消えている間の事を聞きにきたが、素直に覚えていないと答えた。

知らない道を散歩していたら気を失って、気がついたら病院に居たのだから嘘はついていないつもりだ。

大体、こういう話は語ったところで信じてもらえないばかりか変人扱いされて病院送りだ。

そういうことになっている。

同じ体験をしているなら話は別だけど、ね。

 

結局、気になって調べてみたら似たような話は結構あるらしい。

変なところに迷い込んだら、そこには変な機械を持っているおっさんが居て、元の世界に送り返されるという話。

俺の場合は若い男だったが、彼もおっさんの仲間なのか?

彼とした会話は今でも結構はっきりと記憶に残っている。

その会話を元に俺はある一つの仮説を作った。

ただそれは、おかしな点がいくつかあるために確信にはいたってない。

 

それは、彼の行動に無駄があること・・・

6年2組が2年2組になっていないこと・・・

そして未だに俺がそれを経験してないということ・・・

だから結局あれが何だったのかは判らずじまい。

それにこの仮説が正しいとしても、無数の目と幽鬼については説明できないから結局お蔵入りとなっていた。

 

ただ最近進展があった。

それはあの山を削って、そこを住宅地にする計画があるということ。

工事予定はまだ確定してないし、地元住民に説明会を開いている段階だが、俺はこの計画が確実に成功するような気がしてならない。

そして、住宅地が完成すれば、あの幽鬼達の正体をつかめる。

そういうことになっている・・・

かどうかはとりあえず完成するまでわからないけど・・・

『逆吸血鬼と存在しない町』怖い話シリーズ136

怖異 恐子
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ゆきキャベツ

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