とある山にまつわる怖ろしい話・・・
『入れないはずの山』
二十年近く昔高校生だった自分達三人に起こった事・・・
僕達三人は僕の叔父さんの家に一週間の旅行に行った・・・
叔父さんは地元で名門と言われる、うちの一族の長男で・・・
今回は怖ろしい怪談話『入れないはずの山』をお伝えします。
毎度おなじみ心霊界の石原さとみこと、コワイキョウコです・・・
神様の中には良い神様と、悪い神様がいるとか言われてますよね・・・
それってちょっと疑問だったりします(汗)
良い方は解るんですけど・・・
悪い・・・けど神様(汗)
それって、なんかどうなんだろうと・・・
ちょっと思ったりしてます(汗)
それでは怖い怖い怪談話・・・
『入れないはずの山』
どうぞお楽しみください・・・
※このお話は9分ほどで読むことができます。
『入れないはずの山』怖い話シリーズ140
初めて投稿致します。
お手柔らかにお願いします。
自分はあまり学がないので文章は拙いと思いますがご勘弁下さい。
二十年近く昔の話です。
まだ高校生だった自分達三人に起こった事です。
このサイトを最近、人づてに紹介されて楽しんできました。
ようやく投稿する気になったので書きます。
まず僕達三人の紹介をします。
自分 一人称は僕と書きます。
当時は見た目もボクチャンでしたし、真面目で素直で明るいどこにでもいる高校生でした。
ちょっといい家の出、いわゆる名門と言われた家系だったのでボクチャンです。
あだ名も同じく。
雅治
親友の一人で福山雅治似の美形。
こういったイケメンは大抵鼻持ちならない輩が多いと言われる中、こいつは違った。
正義感に溢れ、カリスマ性を持ち、親分肌の我々三人のリーダー格。
趣味は何故か盆栽。
その関係で僕の祖父(当主)とはとても仲がいい。
ジミー
ジミー大西似で角刈り。
ヤンキーでも普通もっとおしゃれな髪型があるだろうと思われるだろうにこの髪型を三年間変えなかった。
巨漢で喧嘩最強。
大変気が強いけど、とても優しい。
こいつも変な趣味があった。
伝書鳩だ。
鳥嫌いの自分には理解出来なかった。
二年の夏休み、僕達三人は僕の叔父さんの分家の田舎に一週間の旅行に行った。
叔父さんは名門と言われる我が家の長男。
家を継ぐはずだったが、何故か継がず、少し離れた山奥で家族を作って分家している。
出版社に勤務していて、人柄は大変豪放で洒脱な誰からも愛される人物だ。
場所など色々特定されないように方言や地名、極一部フィクションを挟みますね。
山間に位置するその叔父さんの住む一帯はとても綺麗な自然に囲まれていた。
勇壮な岩や、滝、水量の多い水源地で知名度もある川が流れており、鮎が沢山釣れる。
今回の旅行はそういった自然と鮎が一番の目的だった。
僕的にはこの叔父さんが大好きで久しぶりに会いたかったってのもある。
到着して1日目は取り敢えず歓迎されて、雨続きで取れなかった天然鮎は無かったものの、叔母さん(高岡早紀似)の質の高い料理を美味しく頂いた。
叔母さんは調理師でプロ並み。
2日目。
雅治の提案で鮎釣り。
叔父さんに連れられて釣りまくった。
川辺で塩焼きを食べた。
僕達は何年分もの鮎を食べた。
一生忘れられない味になった。
3日目。
従姉妹の美香ちゃんとその友達と遊んだ。
この話では関係ないので割愛。
さて4日目。
ここからちょっと暇になる。
雅治「叔父さんも叔母さんも仕事でいなし、美香ちゃん部活だし、家誰もいないし暇だな」
ジミー「ここって田舎だから珍しい鳥もいそうだし、まだまだ秘境みたいな場所あるかもしれんぞ。」
僕「父さんが言うには子供の頃叔父さんとよく探検したらしいよ。
凄い田舎だけどどこ探検しても同じような山、山、山だから、ほとんど知らない場所はないらしい・・・。
秘境だけど、現代では秘境ではないって事らしい。」
ジミー「つまんねぇ」
雅治「叔父さんが子供の頃って事は行動範囲限られてる訳じゃん。
俺達高校生だぜ、ジミーに至っては原子力チャリのライセンスだけはある。」
ジミー「なぁ、叔父さん家原チャないんか?」
僕「DIOがあるよ。叔父さんは近所で飲む時は原チャで移動するんだ。帰りに風を切って酔いを覚ますんだって」
雅治「じゃあガソリンがあれば出れる訳だな。」
僕「三人は無理だよ。ジミーは力士みたいな巨漢だぞ」
一時間後。
DIOにロープをつないだママチャリ完成・・・
かごにはアルミに包まれた弁当の残りのおかずつきのお握りと水筒。
昼前に出発という事で小さなガキの冒険に出た。
ガソリンさえ入っていなかったら未来は変わったんだと思う。
舗装されていない林道を一時間程走ると、さらにゴツゴツした狭い林道になっていった。
あまり地元人も立ち入らないような轍のない道。
僕達はあんま後先考えないんだよね。
バカばっかりだから。
「パンッ」
「ガンガン!ガンガン」
僕のママチャリは当然パンクした。
前の2人は気付くのが遅れ、チャリの後輪は金属が見えるまで使い物にならなくなった。
移動手段をなくした三人は暫く休憩しようという事でポイントを探す事にした。
幸運にも5分程度で人の手が入った形跡のある場所を見つけた。
太陽の調度真下に見える、小高い山に見える神社。
雅治「おっ、こんな山奥に神社があるじゃん。ちょっと見てみようぜ。あんま人来ない感じするから遺跡とか変わったもんがあるかもしれんし。」
ジミー「そうだな、あと少ししたら昼飯に調度いいし」
僕「ちょっと気味悪くないか?こんな山奥で地元の人も来てない感じだぞ」
雅治「だからいいんじゃねぇか、ボクチャン。人が来ないから発見がある」
訳の分からないリーダーの意見に賛成して神社に続く道を行く。
ジミー「なんだ、普通の神社だな。」
雅治「期待がはずれたかな。」
何処にでもある神社と変わらないし、主祭神もメジャーな神様。
雅治「あれ、山の頂上の方にも鳥居があるぞ。まだ冒険は終わらないって事だ。」
ジミー「せっかくだから行くしかないでしょ!」
僕は流されやすいので、ただ先を行く2人についていく。
暫くすると道が獣道のように悪くなる。
しかし先には黒っぽい鳥居が見える。
到着・・・
唖然とした。
世間知らずで宗教観も適当で、馬鹿な自分達でも解る。
異形・・・
異様な鳥居。
鳥居の柱は昔は赤かっただろう名残りで所々に朱色の痕跡が残り、殆どは黒か茶色っぽく変色し、年月を感じさせる。
が、問題はそこじゃない。
柱は蛇が巻き付いてるんだ。
生きているんじゃなくて作り物、しかも最初からぶっとい大木を削って蛇の彫り物と同化した鳥居。
雅治「おー!すげぇ。かっちょいいが。クオリティ高いで。手間かかったもんだで」
ジミー「凄いな、なんでこんなんが山ん中にあるんだ?」
僕は足の裏がビリビリして、それが首まで伝わってくる感覚に襲われた。
ゾゾゾゾー!とした。
良く見ると蛇はそれぞれ頭が多い。
空想上の気持ち悪い蛇だ。
雅治「取り敢えず中入ろう」
中に入ると森が不自然になくった形状の場所だった。
真ん中にでっかい菱形の岩が土に刺さっている。
岩には三本のごついしめ縄と幾重にも神社にある白い短冊みたいな糸?が張り巡らされている。
雅治「なんだろ?どう考えても曰く付の石だな」
ジミー「なんぼ俺達でもアレはよう触らんわ」
僕「良かったー、お前等が何かしそうで怖かったけど何もせんならそれでいいわ」
リュックからお握りを取り出す。
その時森の方が視線を感じた。
赤い何かがぼやっと光ってる。
ジミーが気付いて・・・
「熊じゃないか?」といった・・・
雅治「熊の目は光らないし、1つじゃねぇよ」
僕「なんか怖いよ。」
!!??
!!!!
でっかい一つ目の蛇が近づいてる!!
ドラム缶位太い。
でも不思議なのは半透明で透けて見える。
腰が抜けるってあるんだよね。
マジで立てないし、言葉も「アウアウ」くらいしか出ない。
歯が噛み合わなくてガチガチ震えて、ジーンズは濡れてあったかくなる感覚を覚えた。
雅治だけは少し肝が座ってるせいで腕の力で前に進めた。
きっと必死だったから分からなかったんだと思う。
さっきのやばそうな岩にたどり着いて、しめ縄にしがみついて立ち上がろうとしている。
「ブチッ」
転びそうになってさらに違うのも掴む。
同じ要領で岩に着いている全てのものを剥がしてしまった。
「どゅー」
超低音のドとボを合わせたような音が辺りに響き渡る。
半透明な蛇がゆっくりと帰って行く。
放心状態の三人。
夕方になろうかって時に皆話せて歩けるようになった。
雅治「なんか疲れた。しかしあのしめ縄で助かったんかな?あの岩は守り神かなんかか?」
ジミーも僕も呆然と頷くだけ。
雅治「なんとかして帰ろう」
ジミー「ああ」
僕「うん」
神社の近くの小川で尿に染まったジーンズを笑いながら洗った。
少し落ち着きと笑顔を取り戻し、ノロノロと三人乗りで叔父さん宅に帰還した。
叔父さん「遅いと思ったらワシの原付引っ張りだして、どこまで行っとった?」
原チャで出掛けてた事や遅くなった事は一切責めず笑顔で聞いてきた。
「探検しとった。神社まで行ったよ」
叔父さん「そうかそうか。まっ早よ風呂入って飯にしようや」
鮎を食べながら、今日の出来事を話せないまま食事は終わりに差し掛かる。
僕も話したいけど、信じて貰えないだろうから話さなかった。
叔父さんは晩酌とテレビを観ながら・・・
叔父さん「○○神社は久しぶりだったろ?神主さんはおったか?あそこはお前の親父とよく行ったもんだ」
雅治「変な神社だったなぁ。鳥居に蛇だぜ。ここら辺りではあんな神社あるんだねー。」
叔父さんはこっちを見て目を丸くしてる。
口もあけたままで、顔は真っ赤になったと思ったら真っ青。
豪快な叔父さんが震えて言葉が出て来ない感じだ。
「それ、本当か?入り口はないはずだぞ!!菱形の岩があったか?」
ジミー「うん、なんか不気味な岩にしめ縄がかかっとった」
叔父さんはその後、根掘り歯掘り聞いてきた。
でも流石にでっかい一つ目の蛇の話しはあまりに突拍子もないのでみんな黙っていた。
叔父さんはしばらく考えこんで・・・
「どこに行ってもいいけど、二度と行ったらいかん。よくない場所だから。分かったな」
初めて叔父さんに強くしかられてなんだかその日は疲れたのもあって、みんなすぐに寝てしまった。
五日目払暁。
叔父さん「おいっ起きろ!雅治が可笑しい」
早起きした叔父さんが僕達の寝所の前を通ると凄い獣臭を感じて、部屋を覗いた。
雅治が真っ赤な目をして蛇のようにくねくねとしている。
ただ、イビキもしており、目を開けながら眠っているようだった。
叔父さんが慌て叩き起こそうにも起きない。
そしてジミーと僕を起こして、「昨日何があった!!」と怒鳴った。
ありのまま大蛇の話しをした。
叔父さんは・・・
「かあさん!すぐ●●さん呼べ!○○神社の神主の!」
まくし立て指示すると自分は昨夜の晩酌の日本酒の一生瓶を持ってきて雅治に頭から浴びせた。
さらに生米を持って来て口に含ませ、水戸泉(古いから分かるかな?)の土俵入りのように塩に浴びせた。
そして最後に神棚にある白い陶器に入った酒を雅治の口に押し入れた。
雅治「びほっ!!ごほっごほっ?!蛇が!蛇が!」と叫んでいる。
暴れだす雅治を巨漢ジミーが羽交い締めにしたらようやく落ち着いた。
叔父さん「はい、来週には出勤しますので、はい、急な事で申し訳なありません。」
叔父さんは欠勤の旨を電話しているようだった。
「お前達急いで水風呂入って車に乗れ!あと○□(僕の父)に連絡しとくから、すぐ親父(叔父さんと父の親で祖父で現在の当主)と来てもらう。急げよ!」
車に乗せられ○○神社に到着。
叔父さん「すいません、急に」
神主「事情は聞いたからいいです。すぐに着替えさせて!」
巫女さんの男バージョンのような格好にされる三人。
僕達はただこれは大変な事なのだと流石に悟っていたので全てなすがままに流されていた。
社に入って二時間くらいお祓いのようなものをされた。
三人とも終わったと安堵した時・・・
「応急措置は終わったから、これから昨日の神社に行く。」
神主がまだまだ厳しい表情で言う。
叔父さん「随分久しぶりに行きますが入れるでしょうか?」
神主「分かりません。ですが行ってみない事には。まだ昨日なら道の香が残っているかもしれません。それなら案外入れるかも」
そこで祖父と父が到着した。
父「あそこは入るだけなら縁起がいいはずなんだが、なんで草様が姿を見せる?」
祖父「あの時みたいにならんようにお前を当主から外して、ここに寄越したんじゃないか。なんでだ?封じは毎年やってる筈だぞ。」
叔父さん「何故かは分かりません。しかし確かに入っただけなら縁起はいいですし、私もあの時以来入り口には入っていません。見つけてもないです。」
神主「おかしい。まだ彼等は子供だから入り口を見つけるって事も有り得るけど、草様を見るなんてあり得ない筈です。後何年も余裕はあったはずです。」
少々説明臭いですが、そんな内容の押し問答を車の中でしていました。
叔父さん「昨日なら着けるはずだぞ」
そう言った束の間。
獣に似たなんとも言えない香りと線香が交じったような臭がしてきました。
神主「!。来た。入れる!このまま祝詞をあげますから直進して下さい。暫くすると着くはずです。」
神主が祝詞を挙げ始めて十秒も経たない内、昨日の記憶を掘り起こすように最初の普通の神社が見えた。
神主「え!」
叔父さん「ん!」
父「え、まさか!」
神主「早すぎる。しかも祝詞無しでこんなに早く着くはずない。」
祖父「ワシは入った事もないが、何かおかしいんか?」
神主「ええ、30年前の時は一時間近く祝詞を父が(先代)あげてようやく着きました。それにこんなに臭くなかったし、山が黒い霧がかかるなんてなかった。」
昨日見た山は晴れていて爽やかな印象だけだったのに、今日はとても入る勇気が持てない程異様な雰囲気に包まれている。
霊感なんて自分にはないと思っていた自分だけど、目の前の光景はこの世に似たどこかって事しか分からなかった。
一行はまずは最初の神社にたどり着いた。
有名な神様が祭ってある神社だ。
神社に入ると中だけ黒っぽい霧は晴れていて凜とした静寂に包まれた空間だった。
神主「さて、説明するよ。ここはさっき会話から少しだけ分かったと思うけど、この世じゃない。
でもあの世でもない。その間にある場所で普通は入れない場所。
ずっとずっとずっと昔からあったと思われるけど、この神社の事が分かったのは最近なんだ。
林業で今まで禁足の地であったこの場所まで事業を広げて、人が少しずつこの村の辺りまで入ってくるようになった。
そしてある時入り口を見つけた子供が何人か出た。
ただ、その何人かはその後いい事ばかり起きるようになった。
それがこの神社の神様のおかげなんだ。
でも、君たちが見たのはこの先の不気味な岩だったろ?
あれは先代が子供の頃に見つけたんだ。
神主として大人になった先代は、地元の独自の郷土の歴史書や○○神社に伝わる言い伝えやらなんやらで不思議な神社の研究をした。
それでそこには蛇の神様みたいなもんが封じられてる事が分かったんだ。だから毎年もう入られないように毎年結界をはるようにしている」
随分ファンタジーな内容だが今の状況からは信じるしかなかったし、ただ話しを聞いていた。
続けて神主は言う・・・
「君の父親が私と子供の頃にここに入った事がある。
私はそれまでに一回、彼は始めてだった。
そこであの岩の場所で蛇を見た。巨大な蛇。
でも当時は何か分からなかったし、今までここに入れた子供達は誰も蛇はおろか岩も知らないと言う。
その時はそれで終わったんだ。
先代は子供の話しをよーく聞いて、何やらぶつぶつ言いながら考え込んだり、古い書を探して調べ物をしたりしてた。
先代が癌で無くなる直前にここの事、蛇や岩に着いての事を話したんだ。
ずっとずっと昔にこの地に蛇の邪悪な神様がいて、それを抑える為に今の神様が封印をした。で、それがあの岩としめ縄」
雅治「ちょっと待って下さい。しめ縄なら蛇の騒動で慌ててて取ってしまいましたよ!全部!」
いつも冷静な雅治も慌てて告げる。
ため息をついて神主・・・
「私もここの事は分からない事の方が多い。色んな霊能力者や神主、僧侶などに聞いても分からなかった。
でもある○◆大社の巫女さんだけは神様の声が聞けるって有名だったから来てもらったんだ。
ここには入れなかったけど、ウチの神社の神様に聞いたら少し分かった。
なんでもウチの神様より、ここにいる蛇の神様も、それを抑えてる神様も随分偉い神様らしい・・・
全部は分からないが、斎藤(仮名です。名門と言われる僕の家)家先祖と土地の所有者である、今の斎藤家が関係あるみたいです。
そしてここに行った事のある斎藤家の2人と当主(祖父)と神主、有名大社巫女とで封じの儀式をする事になった。
何せ神様と会話出来て、力も強いのは巫女であるから言うとおりにするしかなかった。
これをしないと斎藤家は一族喰われるだろうし、この山一帯がこの世界に近くなるから。
そういわれて封じ神の儀というのをして、さらに巫女が言うには『草様というらしい』蛇を閉じ込めても守りがいないとダメという事だった。
そこで君(僕)の父が当主から外れてここに残り、自分も巫女の勧めた通りここに残った君のお父さんの手伝いをするようにした。」
暫く静寂の後・・・
神主「よく言うお祓いや呪いのように何かしたらいいとか、どうなるってのは私でもさっぱり分からない。
ここの事は今言った程度の事しか分からないし、私達の世界の事が通じるかも分からない。
ただ、出来るだけの事はする。
巫女がまだ生きていれば良かったけど、神様に愛された人は短命が多いと言われるように早死した。
だから私しかいないが覚悟はしといてくれ。」
僕達三人ただ涙を流しながら後悔をしていた。
ガソリンがなかったならなって思った。
神主「雅治くん。正直に言うと君が一番魅入られている。一番いい男だし、縄を切ったのも君。そして声が美しいのも君。
神様ってのは、いい神様も悪い神様も人間の声で好き嫌いが分かれるもんなんだ。その要素が強い。と巫女が生前言ってた。
どうなるかは分からない。みんな死ぬかもしれないし、何もならないかも分からない。
ただ、雅治くんが一番危険だから覚悟はしといてくれ。
残酷な言い方だけど、それしか言えない。
相手は凄く強い神様だし、ここはもうこの世じゃないから」
一同 ただ頷くだけ。
持ってきた塩と原酒と言われる高い酒。
さらに米と神主が良く持ってる、棒が付いた短冊みたいなのを振り回し始めた。
この辺のことについても書きたいのだが、残念ながらその時の記憶がない。
気が付いたらみんな車の中で気絶していた。
夢の出来事なら良かったと思う、今でも。
みんな身体中酒臭いし、米や榊の葉っぱが付着していたりしていた。
最初に目を開けた叔父さんは、雅治だけいなくなってるのを発見した。
途方にくれていたら車の後ろ、林道の向こうに雅治の服を着た何かが見えた。
叔父さん「ちょっとまっとれ!出るなよ」
叔父さんは雅治を道の隅に避けて戻ってきた。
叔父さん「見ない方がいい。後はワシとじい様でなんとかするから、お前はジミー君と家に帰れ。」
僕もジミーも雅治に会わせてくれと頼んだが、叔父さんは構わず雅治を残して発進した。
泣いて頼んでも車は止まらない。
巨漢のジミーが興奮しまくってるのを見て、叔父さんは少し行って車を停めた。
「親友の首のない死体を生で見れるか?こうなったらどうにもならんのだ。」
言葉にならずただただ泣いた。
その後はあまり記憶がない。
神主の神社に着いた。
来ていた白い糖衣を燃やして着て来た服に着替え直した。
神主「君たちにこれだけは言っておきます。悪い神様と繋がりが出来てしまったからこれから先どうなるかは分かりません。
ただ雅治くんのようにならないように大社にはお参りしなさい、定期的に。
あそこの大社はあの山の神様と同じだからきっと守ってくれるはずです。
亡くなった雅治くんには悪いですが、彼が封印を解いてしまったのだから仕方ないのです。
それに彼は最初に岩の所で蛇におにぎりを供えたそうです。余計魅入られてしまったんですよ。
どうにもならなかった。
ただ私も含め助かった事を○△命に感謝してこれからも参拝なさい。
幸い割りと近くにあるんですから。
そして忘れなさい。無理かもしれないけど、そう心がけなさい。
後の事は斎藤家の人となんとかしますから。
最後にこの事は決してしゃべってはダメですよ。
すでに繋がりがあるあなた達2人は草様に近い存在なのだから。
私は神様の声は聞けないから答えは出せないが、この事は言ってはいけない事になったんだ。」
後日談
その後、雅治は行方不明という事になった。
事件時の保護監督者である叔父さんが、可能な限り賠償して決着がついた。
ジミーとはその後も仲は良かったが、二十歳の時に発狂して死んだ。
飛び降りだったが、何故か身体中鱗のように鬱血した死体が見付かった。
僕はなんとか生きている。
ジミーは近所が学会で宗教チックな事に辟易していたので、神社に行く行為があまり好きでなく、僕より参拝の頻度がずっと少なかった。
僕が生きてるのは、毎朝大社に欠かさず参拝しているからだと思う。
早朝になると境内を掃除しながら参拝する。
それで生きてるんだと思う。
ただ精神的にはおかしくなっている。
今だにかなり参っていて、悪い夢も見る。
さらにあの事件以降、全くなかった霊感がバリバリ出てしまった。
ジミー、雅治の墓参りには行っている。
すごく霊感がついた自分は、死者と話す事も出来るようになった。
ただ2人共、この世にもあの世にもいないようだ。
墓も仏壇も空っぽなんだって、今ははっきり分かる。
自分は人に話してはならない、縁を繋げてはいけないと言われた。
でももう疲れた。
あの世でもない世界で囚われているであろう、2人の元に連れて行かれても構わないという決心というか、覚悟というか・・・
半ば投げ遣りな気持ちで投稿する事にした。
こんなに長い文章を文系でもない無学の自分が記憶を辿って書いて、見苦しかっただろうと思う。
創作としか思えないだろう事象だけど、ここまで読んで頂き有り難う。
最後に自分が言うのもなんですが・・・
学生時代の友人って一生ものだから、大事にした方がいいよ、皆さん。
生きて行けたら、またサイト覗きます。
では・・・
『入れないはずの山』怖い話シリーズ140
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